「座布団」と呼ばれる巨大なヒラメが、自分より長いアオヤガラを捕らえて飲み込んでいます。 ヒラメの喉には、第二の顎とも言える「咽頭顎」があり、捕らえた獲物を食道へと送り込みます。 映像では、口が大きく動いていなくても、アオヤガラが少しずつ飲み込まれてゆく様子がわかります。
概要
和名:ヒラメ
英名:Japanese flounder,Olive flounder
学名:Paralichthys olivaceus (Temminck & Schlegel, 1846)
- 撮影場所:静岡県伊東市
- 撮影時期:12月
- 主な水深:12m
- 映像特徴:夜の海でヒラメがアオヤガラを捕食し、飲み込む様子
- ©Takuya Yakita
提供映像(サンプル映像は低画質版です)
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 総ビットレート:58029kbps
- 長さ:32秒
- サイズ:221MB
分類・分布
【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > カレイ目 > ヒラメ科 > ヒラメ属 > ヒラメ
【分布】千島列島から九州、シナ海。
特徴・雑学
ヒラメは日本沿岸の浅い砂泥底に生息する大型の肉食魚で、体は左右に平たく、両眼が体の片側(通常は左側)に寄っています。 一般的に海底に身をひそめて獲物を待ち伏せすることで知られていますが、泳ぎながら獲物を捕食する姿が観察されることもあります。
見えないほど遠くから接近している
第二の顎・咽頭顎で飲み込む
ヒラメは獲物を捕らえても、人間のように奥歯で咀嚼してから飲み込むわけではなく、ほとんど丸飲みにします。 外から見える鋭い歯は、主に獲物を捕らえて逃がさないために発達したものです。 口の奥には「咽頭顎(いんとうがく)」と呼ばれる第二の顎があり、飲み込んだ獲物をさらに奥へ送り込む役割を担っています。
咽頭顎で徐々に飲み込んでゆく
咽頭顎の多様性は魚類の多様性を生んだ
咽頭顎は、魚類の鰓を支える後方の鰓弓(さいきゅう)が変化して生じた第二の顎です。
硬骨魚類の祖先が現れた約4億年前には、その原型となる構造が既に存在していたと考えられています。
近年の研究では、獲物を砕くために発達した咽頭顎は一度だけ進化したのではなく、複数の魚類グループで独立に進化したことが明らかになっています(1)。
硬い貝などを食べるベラ科の魚では、咽頭顎が獲物を砕くのに適した形へ発達しています(2)。
咽頭顎の発達は、多様な餌を利用することを可能にし、魚類の進化と繁栄に大きく貢献したと考えられています。
映像では、捕らえたアオヤガラを咽頭顎まで送り込むような動作をしたあと、少しずつ口の中へ入っていく様子が見られます。
ベラ科の咽頭顎で砕いて飲み込む
食・利用
ヒラメは日本を代表する高級魚のひとつで、古くから刺身や寿司種として親しまれてきました。
身は白く透明感があり、上品な甘味と適度な弾力を持つことから、「白身魚の王様」と呼ばれることもあります。
刺身や寿司のほか、昆布締め、薄造り、煮付け、唐揚げ、ムニエルなど様々な料理に利用されます(3)。
骨や頭からも良いだしが出るため、あら汁や潮汁の材料としても重宝されています。
毒・危険性
人に対する毒や危険性はありません。
飛び上がる前に体を波打たせている
左面を上にして泳ぐ様子がよく分かる
小さな雄が、大きな雌に寄り添って背ビレを震わせる
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - World Register of Marine Species(分類情報)
▶ 見る - 学研の図鑑LIVE魚・学研・本村浩之総監修
- 原色魚類大図鑑・北隆館・阿部宗明監修
- 1)Functional design and evolution of the pharyngeal jaw apparatus in euteleostean fishes
(真骨魚類における咽頭顎装置の機能的設計と進化)
G. V. Lauder
Zoological Journal of the Linnean Society 77(1)(1983)
DOI:10.1111/j.1096-3642.1983.tb00526.x
▶ 見る - 2)ベラ亜目における特殊な咽頭顎の進化と適応放散
海洋生命科学部門 分子海洋科学分野
東京大学大気海洋研究所(2008年12月)
DOI:なし
▶ 見る - 3)ヒラメ
東京都島しょ農林水産総合センター
東京おさかな図鑑・伊豆・小笠原諸島の魚
▶ 見る