ヒラメ

待ち伏せるハンター

Paralichthys olivaceus

ヒラメは海底近くに生息する日本を代表する大型の肉食魚です。 普段は海底に身を伏せて生活していますが、泳ぐ姿を見ると左側を上にした独特の体勢であることがよく分かります。 「海底で動かない平らな魚」という印象とは異なり、大きな口と鋭い歯を備えた優れたハンターです。

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概要

和名:ヒラメ

英名:Japanese flounder,Olive flounder

学名:Paralichthys olivaceus (Temminck & Schlegel, 1846)

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > カレイ目 > ヒラメ科 > ヒラメ属 > ヒラメ

【分布】千島列島から九州、シナ海。

特徴・雑学

ヒラメは日本沿岸の浅い砂泥底に生息する大型の肉食魚で、体は左右に平たく、両眼が体の片側(通常は左側)に寄っています。 一般的に海底に身をひそめて獲物を待ち伏せすることで知られていますが、泳ぎながら獲物を捕食する姿が観察されることもあります。

生まれたてのヒラメは、普通に泳ぐ魚・・・

孵化した稚魚は、一般的な魚と同じように左右対称の姿で泳いでいますが、標準体長約10.5 mmになると変態が始まり、右目が頭の上を通って左側へ移動します(1)。 その後は左側を上にして海底で生活するようになります。

普通の魚とは異なり、体を横たえて生活するため、左右という表現だけではどちらの面を指すのか分かりにくくなります。 そのため、生物学では目のある側を「有眼側」、目のない側を「無眼側」と呼びます。

左側へ移動するのは右目だけであり、右胸鰭や右鰓蓋は無眼側に残ります。 目以外の基本的な体のつくりは普通の魚と変わりません。

「左ヒラメ、右カレイ」と言いますが、これはヒラメでは右目が左側へ移動し、左側が有眼側になることを指します。 ただし、ヒラメを含むカレイ目の魚にもごく稀に例外があり、ヒラメでは左目が右側へ移動して右側が有眼側となる「右ヒラメ」が確認されています。
この現象は発生過程で左右が逆転したものと考えられていますが、その詳しい仕組みは現在も明らかになっていません。

ヒラメの「自動カムフラージュ」機能

有眼側には色素胞が発達しており、周囲の環境に合わせて体色や模様を変化させることができます(2)。 これは、睡眠時や興奮時などの生理的な体色変化と同様に色素胞が制御される現象ですが、ヒラメでは海底の砂や岩、海藻などを目で見た情報をもとに、神経系や内分泌系が色素胞を制御することで、背景に合わせた体色変化を行います(3)。
周囲の明るさや模様に応じて色素胞が拡大・収縮することで、体色や模様はわずか数秒で変化し、海底の背景へ巧みに溶け込みます。

この優れたカムフラージュ能力は、獲物への待ち伏せや外敵から身を守ることに役立っています。 また、このような体色変化が見られるのは主に有眼側であり、海底に接する無眼側は白色のままで、ほとんど変化しません。

食・利用

ヒラメは日本を代表する高級魚のひとつで、古くから刺身や寿司種として親しまれてきました。
身は白く透明感があり、上品な甘味と適度な弾力を持つことから、「白身魚の王様」と呼ばれることもあります。

「鯛や平目が舞い踊る」ごちそうの代表魚

特に東日本では高級魚としての評価が高く、関東から東北にかけての地域では寿司や刺身の定番として親しまれてきました。
一方、西日本では地域によってカレイ類の利用が盛んなこともあり、ヒラメとの親しまれ方に違いが見られます。

特に冬から春にかけて脂が乗った個体は評価が高く、刺身では噛むほどに旨味が広がります。
縁側と呼ばれる背びれ・尻びれの付け根の筋肉は脂肪が多く、独特の食感と濃厚な味わいで人気があります。

刺身や寿司のほか、昆布締め、薄造り、煮付け、唐揚げ、ムニエルなど様々な料理に利用されます。
骨や頭からも良いだしが出るため、あら汁や潮汁の材料としても重宝されています。

主な産地は東北地方から関東地方の太平洋沿岸で、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県などが知られています。
また、各地で養殖技術も確立されており、天然魚と並んで市場へ安定的に供給されています。

高級料理店から一般家庭まで幅広く利用される、日本の重要な水産資源のひとつです。

毒・危険性

人に対する毒性や危険性はありません。

ヒラメが待ち伏せから捕食する瞬間の映像 ヒラメが、頭上の群れに向かって飛び上がるように捕食する瞬間をとらえた希少映像

飛び上がる前に体を波打たせている

ヒラメが泳いで捕食する瞬間の映像 ベラの産卵に突っ込んで泳いできて捕食するヒラメ

遠くから泳いで来て捕食している

ヒラメの求愛行動 ヒラメの雄は、大きな雌の体に顎をのせるように寄り添い、背鰭を震わせるようにする

小さな雄が、大きな雌に寄り添って背ビレを震わせる

参考資料

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