ショウジンガニ

自切面からの再生芽

Guinusia dentipes

脚の数が随分と少ないショウジンガニですが、脚の切断面には小さな膨らみがあります。 これは、再生された小さな脚が中に収納された「再生芽」です。 次の脱皮で新しい脚が生まれ、脱皮を繰り返すごとに元の大きさへ戻ります。

🔬 専門資料・出典引用(7件)

概要

ショウジンガニ:Guinusia dentipes (De Haan, 1835)

撮影地:静岡県伊東市

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

節足動物門 > 軟甲綱 > 十脚目 > ショウジンガニ科 > ショウジンガニ属 > ショウジンガニ

岩手県以南、韓国、台湾、南太平洋沿岸の磯や転石。

特徴・雑学

成体のショウジンガニは、丸みを帯びた四角形の甲殻をしており、凹凸のある表面には硬い毛が生えています。 生体の色は褐色と赤が混ざり、海藻の生えた岩礁に馴染むような色合いをしています。
映像の個体は多くの脚が欠損していますが、切断面には再生芽ができ始めています。前回の脱皮から時間が経っているものとみられ、白い付着物に覆われています。

どこからでも再生できるわけではない

カニの脚は7つの節から構成されていますが、そのうち基部の節から2番目節に“自切面”になっています。 ここはあらかじめ弱く作られた「切れやすい節」で、接合面は中央に小さな穴の開いた膜状になっており、普段は神経や体液のやりとりは小穴から行うことで、 自切した際に体液の流出などのダメージが少ないようになっています。
自切面以外で脚が切断された場合は再生できません(2)。

噛み切られる前に自分で切り落とす

映像のショウジンガニは2本のハサミ脚を含む4本の脚が欠損しています。 これは、外敵に咬みちぎられたのではなく、自分で切り落としたものです。 自切には大きく2種類あり、捕食者が脚に喰いついたときに逃れるために切り落とす「逃避自切」と、脚を切り離すことで捕食者の注意をそらして逃げる「防衛自切」です。 防衛自切はトカゲの尻尾切りと似ています(1)。

小さな脚の再生

自切面で脚が切り離された場合は、内部に小さな新しい脚が折りたたまれるようにして成長し「再生芽」を形成します。 新たな脚は次の脱皮の際に初めて外に現れます。
脱皮後の新しい脚はとても小さなものですが、その後数回の脱皮を繰り返すことで徐々に元の大きさになります(3)。

食・利用

ショウジンガニは「海辺のみそ汁のカニ」として知られ、沿岸部の民宿や家庭料理で古くから親しまれてきました。 ただし流通量は極めて少なく、市場で見かけることはほとんどありません。
味は濃厚で、甲殻類らしい旨味が強く、驚くほどのうま味があります。

海辺のみそ汁・ショウジンガニ ショウジンガニの水中映像

流通することのないカニだが、みそ汁のカニとして有名

フグに乗るショウジンガニのメガロパ幼生 フグに乗るショウジンガニのメガロパ幼生の水中映像

春に大量発生する

毒・危険性

人に対する毒や危険性はありません。

『フクロムシ』(Sacculinidae)が寄生している場合がありますが、ショウジンガニ自体の味の変化や毒化はありません。 フクロムシが寄生している場合、"カニのふんどし"と呼ばれる腹部に黄色い袋状の物体がありますが、フクロムシの卵巣で毒性はありません。 フクロムシは甲殻類であり食べることも可能ですが、気になる場合は除去すれば問題ありません。

参考動画:ショウジンガニに寄生するフクロムシ ショウジンガニに寄生するフクロムシの水中映像

参考動画:ショウジンガニに寄生するフクロムシ

参考資料

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