ショウジンガニ Guinusia dentipes のメガロパ幼生が魚に乗る珍しい水中映像です。 ゾエア、メガロパは、卵から孵化したカニが成体と同じ稚ガニになるまでの「変態」の過程ですが、ショウジンガニのメガロパ幼生は、一般的なメガロパ幼生より大きいのが特徴です。 初夏に大発生する大型メガロパの資料やみそ汁文化も紹介します。
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Guinusia dentipes
ショウジンガニ Guinusia dentipes のメガロパ幼生が魚に乗る珍しい水中映像です。 ゾエア、メガロパは、卵から孵化したカニが成体と同じ稚ガニになるまでの「変態」の過程ですが、ショウジンガニのメガロパ幼生は、一般的なメガロパ幼生より大きいのが特徴です。 初夏に大発生する大型メガロパの資料やみそ汁文化も紹介します。
私を遠くに連れてって?
ふと見ると、フグのキタマクラに何か付いています。 なんだろうと思ってよく見ると、ショウジンガニのメガロパ幼生がしがみつくようにくっついています。 ロディオのような、スパイ映画の主人公のような姿です。 キタマクラの中には、邪魔なメガロパを取って欲しいのか、ホンソメワケベラの近くに行く個体もいました。 ところが、ホンソメワケベラはまったく気づかず… キタマクラは怒っているようにも見えました
メガロパ幼生はキタマクラを移動手段と考えている。のかどうかは、わかりません。
概要
和名:ショウジンガニ・精進蟹(メガロパ幼生)
英名:Cleft-fronted Bait Crab(megalopa larvae)
学名:Guinusia dentipes (De Haan, 1835)
提供映像(サンプル映像は1280x720.30pです)
分類・分布
節足動物門 > 軟甲綱 > 十脚目 > ショウジンガニ科 > ショウジンガニ属 > ショウジンガニ
岩手県以南、韓国、台湾、南太平洋の磯や転石。
特徴・雑学
成体のショウジンガニは、丸みを帯びた四角形の甲殻をしており、凹凸のある表面には硬い毛が生えています。
生体の色は褐色と赤が混ざり、海藻の生えた岩礁に馴染むような色合いをしています。
エビ?カニ? メガロパです。
晩秋から初冬になると雌は「外子持ち」と呼ばれる抱卵をします。 卵から孵化した姿はミジンコのような『ゾエア幼生』として誕生し、海中を浮遊生活します。 浮遊生活をしながら成長して脱皮を繰り返すと「エビとカニの中間」のような段階の『メガロパ幼生』となり、海藻や流れ藻の間などでしっかりと足を使って生活します。
ショウジンガニのメガロパ幼生
▲ 「ふんどし」はまだ出ている
その後、第一幼蟹となって海底生活を始め、第二幼蟹期を経て成体となります。 第一幼蟹が見られるのは春から初夏なので、孵化後のゾエア幼生とメガロパ幼生の期間は6か月に及ぶと考えられています(1)。 三重県の報告では、5月初旬に「おびただしい数のメガロパ幼生が水面を覆いつくしていた」とあり、ゴマサバの胃の内容物から大量のメガロパ幼生が採取されています(2)。
フグに乗るメガロパ幼生
▲ 降りると食べられてしまうかもしれない
一般的なカニのメガロパ幼生は小さくて見えないほどですが、ショウジンガニのメガロパ幼生は甲長1センチ弱ほどと例外的に大きく、肉眼でもはっきり見えます(3)。
つかまりやすい物体には付いたら離れない傾向があり、メガロパ幼生を観察したダイバーが海から上がると、ウエットスーツにメガロパ幼生が沢山ついていることがよくあります。
「海辺のみそ汁」のイメージが強い
食・利用
甲羅の大きさのわりに身は少ないものの、殻や内臓から強い旨味が出るため、味噌汁や潮汁にすると驚くほど濃厚な風味になります。 房総半島、三浦半島、伊豆半島、紀伊半島、四国太平洋岸などの磯では、ショウジンガニをぶつ切りにして鍋に放り込み、海辺ならではの味噌汁として親しまれてきました(4)。
街では買えない、海辺の味
一方で、ショウジンガニが一般の鮮魚店やスーパーにほとんど並ばないのは、商業流通に向かない性質を持っているためです。 まとまって大量に獲れることが少なく、鮮度落ちも早いため、広域流通に乗ることはほとんどありません。 漁港周辺で消費されることが多く、観光客がその味に感動しても、自分の街でショウジンガニを買える機会は限られています。
こうした事情から、ショウジンガニは今も「その土地で食べる」スタイルが主流です。 伊豆半島の稲取や河津周辺の「ひっこくり」のように、専用の仕掛けを使ってカニを引っ張り出す遊びと結びついた食体験も存在します(5、6)。 獲ったカニをそのまま味噌汁に仕立てる体験は、観光プログラムとしても人気があり、現代でも「海で遊ぶ・獲る・食べる」をひとつながりで味わえる、数少ない磯の食文化となっています。
毒・危険性
毒の情報はありません。
『フクロムシ』( Sacculinidae)が寄生している場合がありますが、ショウジンガニ自体の味の変化や毒化はありません。 フクロムシが寄生している場合、"カニのふんどし"と呼ばれる腹部に黄色い袋状の物体がありますが、それがフクロムシの卵巣で毒性はありません。 フクロムシは甲殻類であり食べることも可能ですが、気になる場合は除去すれば問題ありません。
脱皮をすると小さな足として展開する
お腹の黄色はフクロムシの卵嚢
参考資料
▶ 見る
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(ショウジンガニ Plagusia dentipes(十脚目・カニ下目)の成長と繁殖)
Shinji Tsuchida & Seiichi Watanabe
Journal of Crustacean Biology, Vol. 17, No. 1, pp. 90-97 (1997)
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三重県 水産研究所 企画・水産利用研究課
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岩手県水産技術センターweb(2022)
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ORETURI(釣魚料理)
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静岡県河津町
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EXBLOG 稲取の海辺の記録
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