メバルの闘争

雄の激しい縄張り争い

Sebastes inermis

交尾前の秋になると、繁殖期のメバルのオスは縄張りを持ち、侵入したオスを追い払って排除する行動をとります。 「逃げたら終わり」ではなく、縄張りから出るまで徹底して攻撃していました。

🔬 専門資料・出典引用(8件)

概要

和名:アカメバル

英名:Darkbanded rockfish

学名:Sebastes ventricosus Temminck & Schlegel, 1843(クロメバル)

  :Sebastes cheni Barsukov, 1988(シロメバル)

  :Sebastes inermis Cuvier, 1829(アカメバル)

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > カサゴ目 > メバル科 > メバル属 > アカメバル

【分布】南北海道から九州、朝鮮半島

特徴・雑学

メバルは大きな目とやや丸みのある体を持つ魚です。 体色には環境や個体差がありますが、岩場や海藻の風景に溶け込む保護色となっています。 北海道南部から九州まで広く分布し、沿岸の岩礁域や海藻が茂る場所、防波堤周辺などに生息します。

俺の縄張りは死守!オス同士の激しいバトル

繁殖期のメバルのオスは縄張りを形成し、その範囲に侵入した他のオスを積極的に追い払います。 東海地域では求愛や交尾はおおむね11月から2月頃に行われるため、この映像が撮影された10月には、すでに繁殖に向けた縄張り形成が始まっていたものと考えられます。

潜水観察による研究では、成熟したオス1尾の縄張り面積は約12~70㎡と報告されています(1)。 しかし、この映像では侵入したオスを約30mにわたって追跡し、縄張りの外まで排除する行動が確認できました。 これは、侵入者を追い払うための追跡・排除行動であり、実際の縄張り境界がどこであったかは確認していません。

その後、縄張り内にメスが現れると、オスは音を発するとともに尿を放出して求愛を行い、受け入れられれば交尾へと進みます。 繁殖期の縄張りは、餌場ではなく、こうした求愛と交尾を成功させるための重要な繁殖拠点として機能していると考えられています。

メスの目の前で放尿するメバルの求愛 雄が雌の目の前で放尿するという変わったアピールをするメバルの求愛

卵胎生であるメバルにとってオスの尿は重要になる

貯蔵される精子・雌雄の成熟のズレを補正?

交尾時のメスの体内では卵はまだ未成熟であり、受精できる状態にはありません。 交尾によって送り込まれたオスの精子は、メスの体内で一時的に休眠し、卵が成熟するまで貯蔵されます(2)。 その後、卵が成熟すると精子は休眠状態から活動を再開し、卵と受精します。

この精子の休眠と貯蔵は、卵胎生であるメバル科魚類の繁殖を支える重要な仕組みの一つとして知られています。 しかし、精子を長期間貯蔵しなければならないほど、オスの交尾時期とメスの卵成熟時期との間にずれが生じる理由については、現在も明らかになっていません。

今にも出産しそうな、お腹の大きい雌メバル 出産しそうな雌のメバル

2012年2月、静岡県伊東市にて撮影

食・利用

メバルは古くから食用魚として親しまれ、白身は上品な甘みとほどよい弾力があります。 新鮮なものは刺身や薄造りで味わわれるほか、煮付け、塩焼き、唐揚げ、酒蒸しなどさまざまな料理に利用されます。 特に煮付けは代表的な調理法として知られ、旬のメバルを使った家庭料理や料亭料理として広く親しまれています。

毒・危険性

メバルの背鰭や臀鰭の棘には毒腺があり、日本産メバルやメバル属全体の毒器官について組織学的な研究が行われています。 一方で、棘によっては毒腺を欠くものもあることが報告されています(3)

ただし、カサゴやオニオコゼのような重い中毒例はほとんどなく、メバルの毒性や人体への影響には未解明な点が残されています。

メバルの総合紹介ページ 様々な色合いが混在するメバルの水中映像

成長や食性、料理の歴史や地方名などを紹介

仔魚を出産するオキタナゴ 卵胎生のオキタナゴは、大人と同じ形の仔魚を出産する

出産する仔魚はメバルより大きく、出産数は非常に少ない

参考資料

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