概要
製作中
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > フグ目 > カワハギ科 > カワハギ属 > カワハギ
特徴・雑学
カワハギは砂の中の貝やゴカイを摂餌しますが、クラゲも積極的に摂餌します。
映像は、カワハギがビゼンクラゲを食べるシーンです。
【カワハギの好物】
カワハギがクラゲを餌として利用することは、実験研究でも確認されています。
水槽内でミズクラゲとゴカイを与え、カワハギの採餌行動を比較した結果、両方の餌がある場合にはゴカイを好む傾向が見られましたが、
クラゲしか見えない条件ではミズクラゲを積極的に捕食することが確認されています。
実験では、カワハギが30分間で体重にほぼ匹敵する量のクラゲを食べる例も記録されました。
この研究から、クラゲはカワハギにとって主要な餌ではないものの、大量発生した場合には重要な餌資源となり得ることが示唆されています。(1)
また、カワハギは成長と共にクラゲの刺胞に対する耐性を獲得することが知られており、クラゲのを捕食する魚として報告されています。 さらに、刺胞の貫通しにくい丈夫な皮膚と、巧みな遊泳によって触手との接触を避けながら、毒の少ない傘などの部分をついばんで食べる能力にも長けていることが確認されています。(2)(3)
海底に水流を吹きかけて餌を探すカワハギ
【クラゲでカワハギを獲る】
瀬戸内海では、傘のような網にちぎったクラゲを餌として仕掛け、カワハギやウマヅラハギなどが食べに来たところを勢いよく引き上げて捕らえる「ハゲヒキ(はぎすくい漁)」という漁法が行われていました。
古くから、ハギ類がクラゲを食べることは知られており、魚の習性を利用した伝統的な漁法です。
また、クラゲが多い年には、そこに隠れて暮らす魚類も増えると言われています。
実際に、クラゲの数と、幼魚期をクラゲとともに過ごすイボダイの数を比較した研究もあり、クラゲが多い年ほどイボダイも増えることが確認されています。(4)
ハゲヒキ漁に使われたというユウレイクラゲに似ているサムクラゲ
食・利用
カワハギは食用としても人気が高く、特に「肝(きも)」が絶品とされます。
肝醤油で刺身を食べるのは冬の味覚として有名で、白身はあっさりとして甘みがあり、刺身、煮付け、唐揚げなど幅広く利用されます。
ビゼンクラゲは一般的なクラゲよりも体が硬く、引き締まった質感をしており、主に中国で「くらげ」として加工され、中華料理などに利用されます。
一方、有明海で漁獲されるビゼンクラゲは、口腕が赤い色をしていることからアカクラゲと呼ばれ、超高級の「くらげ」として中国にも輸出されます。
この、有明海のビゼンクラゲは、近年になって別種である可能性が高いと考えられるようになり、アリアケビゼンクラゲと呼ばれるようになっています。
ただし現時点では、学名は Rhopilema sp. とされており、分類上は未確定で、ビゼンクラゲの一種(変種的な扱い)とされています。
毒・危険性
ビゼンクラゲの毒は弱毒で、初期は痛みが伴うものの痒みとなり、30分で消失するという報告があります。(5)
珍味「くらげ」の原料となるビゼンクラゲ
参考資料
- JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - 1)Feeding preference of the threadsail filefish Stephanolepis cirrhifer on moon jellyfish Aurelia sp. and lobworm Perinereis nuntia vallata
(カワハギ(Stephanolepis cirrhifer)のミズクラゲとゴカイに対する摂餌選好)
宮島 雄一郎・増田 玲爾・山下 洋
日本プランクトン学会・日本ベントス学会(2011)
▶ 見る - 2)Larvae of the threadsail filefish Stephanolepis cirrhifer feed on eggs and planulae of the jellyfish Aurelia sp. under laboratory conditions
(カワハギ仔魚(Stephanolepis cirrhifer)は、実験条件下でミズクラゲ Aurelia sp. の卵およびプラヌラ幼生を摂食する)
宮島 雄一郎・増田 玲爾・山下 洋
日本プランクトン学会・日本ベントス学会 Vol.11, No.3, pp.96-99(2016)
▶ 見る - 3)魚類によるクラゲ摂餌の生理生態学的研究
多賀(宮島) 悠子(2014)
京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 博士学位論文
▶ 見る - 4)最近の漁業塾~瀬戸内海歴史民俗資料館へ!
香川県水産課
うどん県おさかな情報
▶ 見る - 5)Stings of edible jellyfish (Rhopilema hispidum, Rhopilema esculentum and Nemopilema nomurai) in Japanese waters
(日本海域における食用クラゲ(ビゼンクラゲ・エチゼンクラゲなど)の刺症)
M.Kawahara,S.Uye,J.Burnett,H.Mianzan
Toxicon No.48-6:713-716(2006)DOI: 10.1016/j.toxicon.2006.06.015
▶ 見る