サラサエビにクリーニングをしてもらうため、ヒレを細かく震わせて岩穴に入り込みます。 すると、サラサエビがカワハギの体に飛び乗り、掃除をし始めます。
概要
和名:カワハギ
英名:Thread-sail Filefish
学名:Stephanolepis cirrhifer (Temminck & Schlegel, 1850)
- 撮影場所:静岡県伊東市
- 撮影時期:5月
- 主な水深:8m
- 映像特徴:サラサエビに掃除してもらうカワハギ
提供映像(サンプル映像はYouTube版です)
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:------
- サイズ:------
分類・分布
【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > フグ目 > カワハギ科 > カワハギ属 > カワハギ
【分布】青森県~九州までの日本各地沿岸、東シナ海。台湾、朝鮮半島、中国沿岸、フィリピン
特徴・雑学
カワハギは、左右に強く側扁した平たい体を持ち、丈夫な皮膚の表面を、棘を備えた特殊な微小鱗がびっしりと覆っています。 このため体表はざらざらとしており、一般的な魚とは大きく異なる独特の手触りをしています。
柔軟な鎧は剥がしやすい
カワハギの皮は非常に厚く丈夫ですが、身との間には明確な境界があり、強く密着していません。 また、皮の内側にはぬめりを伴う層があり、この層が滑りの役割を果たすことで、切れ目を入れると手で簡単に剥がすことができます。
この丈夫な皮は外敵から身を守る鎧のような役割を持つ一方、身に強く固定されていないことで、柔軟に体を動かすことができるという相反する特性を併せ持つ構造になっています。 この丈夫な皮を手で簡単に剥がせるという特徴が、「皮剥ぎ(カワハギ)」という名前の由来になったとされていますが、1712年ごろに編纂された『和漢三才図会』(1)には、「皮剝魚」として掲載されています。
砂の海底にジェット噴射する
「掃除してください」の合図
魚を掃除することで有名なサラサエビですが、岩穴から離れて出張掃除を行うことはありません。 掃除を求める魚のほうが、「小さなクリーニング店」を訪れます。 カワハギが体を斜めにし、ヒレを細かく震わせるのは、「掃除してください」という合図だと思われます(2)。 合図を送りながら岩穴に近づくと、少し様子をうかがっていたサラサエビたちは、カワハギの体に乗り移ってクリーニングをはじめます。
意外と強めなエビのクリーニング
サラサエビのクリーニングは、実は「ソフトタッチ」ではありません。 実際に手を掃除してもらったこところ、意外と皮膚をつまみあげるような動作があり、時には痛く感じます。 掃除されている魚が見せる、体を捻るような行動は「痛っ!」というリアクションだと考えられます。
出血するほど摘ままれることもある
食・利用
カワハギは、見た目の愛嬌とは裏腹に、食の世界では非常に評価の高い魚です。
とくに知られているのが肝で、「海のフォアグラ」とも称される濃厚な味わい(3)は、多くの人を惹きつけてきました。
旬は主に秋から冬。水温が下がるにつれて肝が大きくなり、身にも脂が乗ります。
刺身では、淡白で上品な白身に肝を和えた「肝和え」が定番で、醤油に肝を溶いた“肝醤油”で味わうと、旨味が一層引き立ちます。
毒・危険性
人に対する毒性はありません。
行儀よく、少しづつ食べる
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - World Register of Marine Species(分類情報)
▶ 見る - 学研の図鑑LIVE魚・学研・本村浩之総監修
- 原色魚類大図鑑・北隆館・阿部宗明監修
- 1)和漢三才図会 中之巻 巻第51 江海無鱗魚
寺島良安(尚順)編
国立国会図書館デジタルコレクション・中近堂(1885年)
DOI: 10.11501/898161
▶ 見る - 2)Communication in Fishes
(魚類のコミュニケーション)
Michael L. Fine, Howard E. Winn, Bori L. Olla
How Animals Communicate, Thomas A. Sebeok (ed.), Indiana University Press(1977)
DOI: 10.2979/HowAnimalsCommunicat
▶ 見る - 3)丹後の海の生き物(カワハギ)
井谷匡志
京都府立海洋センター・京都新聞(2005年)
DOI: なし
▶ 見る