概要
和名:ウスバハギ
英名:Unicorn Leatherjacket / Unicorn Filefish
学名:Aluterus monoceros (Linnaeus, 1758)
12月の静岡県沼津市で撮影したウスバハギの成魚です。海底の水深は約10mでしたが、4〜5mほどの中層を単独で泳ぐ姿を水中撮影しました。
釣りでは外道とされることもありますが、伊豆・伊東地域では当たり前のように鮮魚店に並び、土地に根付いた食用魚であることが感じられます。
刺身を肝醤油で食べると非常に美味しく、個体が大きいので食べ応えも十分。さばき方も簡単で、家庭料理としても満足感の高い魚です。
インドやマレーシア、オーストラリアなどでは、スパイスやレモンなどを使ったレシピもあり、和食以外にも色々と試してみたい魚です。
- 撮影場所:静岡県伊東市川奈(若魚)、沼津市大瀬崎(成魚)
- 撮影時期:10月(若魚)、12月(成魚)
- 主な水深:1m~4m
- 映像特徴:ウスバハギの成魚
提供映像(サンプル映像は低画質版です)
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:1 分 25 秒
- サイズ:416MB
分類・分布
【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > フグ目 > カワハギ科 > ウスバハギ属 > ウスバハギ
【分布】本州中部以南、世界各地の温帯、熱帯域。
特徴・雑学
ウスバハギは、外洋性のカワハギの仲間です。
大きく群れることは無く、沿岸から沖合にかけて、単独または小さな群れでゆったりと遊泳します。
食性は幅広く、底生の無脊椎動物やクラゲ、動物プランクトン、小型の魚類などを捕食します。
中層を泳ぐことが多いためか、ダイビング中に見ることはほとんどありません。
名前の通り極端に扁平した体をしており、ひと目で「ウスバハギだ」とわかる特徴的なシルエットです。
【幼魚はみんなと同じ姿】
ウマヅラハギとよく似ていますが、背鰭の一番前方にある第1棘が非常に長く、基部は眼球の中央部付近に位置します。
また、他のカワハギ科の尾鰭がウチワのような円形型をしているのに対し、ウスバハギの尾鰭はまっすぐな台形型をし、上端と下端はやや伸びており、
似たようなカワハギ科の中では見分けがつきやすい魚です。
ただし、幼魚・若魚のうちはこの特徴が顕著ではなく、海中でウスバハギと判断するのは容易ではありません(1.2)。
ウスバハギ成魚の尾鰭と背ビレ第1棘
▲ 尾鰭後端は丸くない
ウスバハギの幼魚期は、流れ藻に随伴して生活していることが研究報告されています(3)。
伊豆半島東岸でも、11月に150mmほどの個体がソウシハギに混ざり、流れ藻に寄り添う様子が観察されました。
リンク先の映像に見られるウスバハギの若魚は、毒を蓄積するソウシハギに似せる「ベイツ型擬態」である可能性が示唆されます。
ソウシハギの模様が体に現れる
食・利用
【地域差のある食材】
カワハギと同様に肝が大きく、濃厚な味わいを持つことから「肝が絶品」として知られています。
歯ごたえの良い身とともに肝醤油で味わう食べ方は特に美味しく、強い旨味を楽しめます。
また、天ぷらやフライ、鍋などにも利用され、加熱すると身がやわらかく仕上がります。
アラからもだしが出るため、汁物にも向いています(4.5)。
地方によって呼び名や扱いには差があり、積極的に食用とされる地域もあれば、あまり流通しない地域もあります。
伊豆では身近な魚として鮮魚店に並びますが、地域ごとに評価が大きく分かれる魚といえます。
【海外でも好まれる"食材"ウスバハギ】
海外では、日本のように魚種ごとの違いにこだわる文化は比較的弱く、ウスバハギに種を限定せずカワハギ科の白身魚とされて料理に用いられています。
皮が剥がれやすく調理しやすいことや、スパイスが染み込みやすいこと、細かい骨が少なく食べやすいことなどからカワハギの仲間は好まれ、
マレーシアやインド、オーストラリアなどで、手軽で美味しい魚料理の食材として利用されています(6.7.8)。
毒・危険性
温暖な海域に生息する大型個体では、シガテラ毒を蓄積している可能性があります(9)。
また、ウスバハギの歯は、波型の爪切のような形をしています(10)。
貝類を砕いて食べる強力な顎の力があり、釣り上げた直後などは、口の中に指を入れる行為は危険です。
ビゼンクラゲは「珍味クラゲ」の原料
鮮やかな色合いが目を引く
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - World Register of Marine Species(分類情報)
▶ 見る - 学研の図鑑LIVE魚・学研・本村浩之総監修
- 原色魚類大図鑑・北隆館・阿部宗明監修
- 1)ウスバハギ
魚類写真資料データベース
国立科学博物館/神奈川県立生命の星・地球博物館
▶ 見る - 2)Development of fishes of the Mid-Atlantic Bight. An atlas of egg, larval and juvenile stages. VI.
Stromateidae through Ogcocephalidae(PDF 256ページ)
(中部大西洋湾における魚類の発生:卵・仔魚・稚魚段階の図鑑 第6巻(イボダイ科からアカグツ科まで))
Martin, F.D. and Drewry, G.E.
U.S. Fish and Wildlife Service, Biological Services Program FWS/OBS-78/12(1978年)
DOI:なし
▶ 見る - 3)底魚類は初期生息場所として流れ藻をどのように利用しているか(PDF)
木村清志 ほか
水産工学研究所技報,第17巻第2号,67-89(2025)
DOI:なし
▶ 見る - 4)ウスバハギ:目利きと料理
旬の食材図鑑
株式会社フーズリンク
▶ 見る - 5)ウスバハギの唐揚げ
魚介メニュー
マックスバリュ東海株式会社
▶ 見る - 6)Leather Jacket Fish / Aluterus monoceros
レザージャケットフィッシュ / ウスバハギ(商品紹介ページ)
Nghi Son Foods Group(ベトナム)
▶ 見る - 7)Tawa Fish Fry Recipe - Yummy Tummy Aarthi
南インド風カワハギの鉄板焼き-ヤミータミー
Aarthi(インド)
▶ 見る - 8)Whole Ocean Jackets with Roasted Lemon, Fennel & Oregano
(ローストしたレモンとフェンネル、オレガノを添えたカワハギ丸ごと料理) Recipe
Sydney Fish Market(オーストラリア)
▶ 見る - 9)シガテラ
食中毒関連
沖縄県 保健医療介護部 衛生環境研究所
▶ 見る - 10)ウスバハギをさばく!
魚食普及推進センター(歯の解説あり)
一般社団法人 大日本水産会
▶ 見る