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概要
トコブシは、日本近海の岩礁域に生息する小型の巻貝で、アワビの仲間として知られています。見た目はアワビに似ていますが、より小さく、殻の孔が多いことが特徴です。
分類・分布
軟体動物 > 腹足綱 > 古腹足上目 > Haliotoidea上科 > ミミガイ科 > アワビ属 > トコブシ
北海道から九州、台湾。
特徴・雑学
トコブシはアワビによく似ていますが、殻が低く平たく盛り上がりが弱いこと、呼吸用の孔がアワビが3~4個であるのに対し、7~8個多く、富士山のように盛り上がらないことで見分けられます。
小さいながらも、しっかりした足で岩に張り付く力があり、細かいものにしがみつく能力は、アワビよりも優れています。
神事や献上品として珍重されてきたアワビに対し、トコブシは身近な食材として親しまれてきた、いわば「献上されないもう一つのアワビ」とも言える存在です。
【信玄の煮貝】
山梨県の甲州名物「あわびの煮貝」には、甲斐の国の武田信玄の兵糧であったという伝説があります。
駿河湾で煮たアワビを馬で甲斐へ運ぶうち、道中で醤油の味がよく染み込み、美味しくなったという話です。
ただし、武田家の記録とされる『甲陽軍鑑』(1610〜1620年頃成立)には、武田信玄がアワビを食べたという記述は見られるものの、「煮貝」や「兵糧」として用いられたという記録は確認されていません。
実際の成立については、江戸末期に甲府の老舗「みな与」の六代目・藤右衛門が南伊豆の網元と協力して加工法を考案したという説や、
沼津の魚問屋が伊豆七島産のアワビを醤油で加工し、樽詰めにして馬や人の背で甲州へ運び、山道を揺られて甲府に着くころに味がよく染み、武士や文人に「江戸にない味」と賞されて甲州名物として広まったという説など諸説あり、
詳しいことは定かではありません。
ただ、武田信玄の名が登場するほど、あわびの煮貝が甲州で広く親しまれてきた食べ物であることは確かなようです。諸説ある由来を争わないため、信玄公の名に結びつけて語られるようになったのかもしれません。
トコブシは、江戸時代以前には「小さなアワビ」としてひとくくりに扱われていたようですが、江戸時代に入るとアワビとは別の貝として記されるようになります。
甲州名物の煮貝にも、かつては手ごろな一品としてトコブシが用いられていました。
しかし近年は、海水温の上昇や海藻の減少などの影響で漁獲量が減少し、現在ではむしろアワビよりも希少な存在になりつつあります。
【トコブシの地方名】
- ナガレコ(紀伊半島)
- ナガラメ(鹿児島県)
- ナガレ(四国)
- アナゴ(九州南部)
- ゴケンジョ(三重県志摩)
- フクダメ(三重県伊勢志摩)
- アブキ(八丈島)
食・利用
食用として利用され、煮物、酒蒸し、塩ゆでなどで親しまれます。アワビより手頃で扱いやすく、地域によっては身近な磯の味として親しまれてきました。
毒・危険性
特になし。
海にある食材として親しまれた「バテイラ(シッタカ)
ホタテガイよりも美味い希少貝「ツキヒガイ」
海藻を食べるサザエ