ごく浅瀬の岩の下に棲む、ごく普通のカニですが、フグと同じテトロドトキシンを体内に蓄積しています。 間違っても食べてはいけません。
概要
和名:スベスベマンジュウガニ
英名:Floral egg crab
学名:Atergatis floridus (Linnaeus, 1767)
- 撮影場所:静岡県伊東市
- 撮影時期:5月、6月
- 主な水深:8m
- 映像特徴:岩場に棲むスベスベマンジュウガニ
提供映像(サンプル映像はYouTube版です)
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:------
- サイズ:------
分類・分布
【分類】節足動物門 > 甲殻綱 > 十脚目 > オウギガニ科 > マンジュウガニ属 > スベスベマンジュウガニ
【分布】*****
特徴・雑学
スベスベマンジュウガニは、その名のとおりつるりとした甲羅と丸っこい体が特徴のカニです。 見た目はとてもユニークで、ちょっとかわいらしい印象さえあります。 浅い磯や岩場のすき間などにひっそりと暮らしています。
フグ毒を「蓄積してしまう」磯のカニ
スベスベマンジュウガニは、強力な神経毒であるテトロドトキシン(TTX)を体内に蓄積することがあります。 TTXをどのように獲得しているのかは完全には解明されていませんが、自ら大量に合成するというより、細菌などを起点として食物連鎖を通じて取り込み、体内に蓄積する仕組みが有力視されています。
個体差あり、地域差あり、部位の差あり
興味深いのは、毒の量が一定ではないことです。 2020年に長崎で採集された9個体では、すべてからTTXが検出されましたが、1個体あたりの総量は大きな個体差がありました。 また、個体が大きければTTXの量も大いという関係も認められませんでした。 別の研究では、同じ島内でも採集場所によって毒の種類や強さが大きく異なることが確認されており、生息環境や餌などが毒化に関係していると考えられます。
TTXは全身に均等に存在するわけでもありません。 神奈川・和歌山産32個体を調べた研究では、ハサミ脚の筋肉では全個体から毒性が確認された一方、頭胸部の筋肉では検出されませんでした。 さらにハサミ脚の中でも部位によって毒性が大きく異なっており、スベスベマンジュウガニは取り込んだTTXを特定の組織へ蓄積・保持する仕組みを持つ可能性が指摘されています。 ただし、その詳細な機構はまだ解明されていません。
フグ毒以外も蓄積する
スベスベマンジュウガニの毒はTTXだけとは限りません。 サキシトキシン(STX)やゴニオトキシン類などの麻痺性貝毒(PST)を併せ持つ個体群も知られ、地域によってはTTXよりPSTが主要な毒となる場合さえあります。 つまり、「スベスベマンジュウガニ=TTXだけを持つカニ」と考えるのは正確ではありません。
これらの毒は神経や筋肉の正常な働きを妨げ、摂取量によってはしびれ、麻痺、呼吸障害などを引き起こし、重症では生命に関わります。 しかも個体・地域による毒量の差が非常に大きく、外見から毒性を判断することはできません。 また、テトロドトキシンは加熱や冷凍をしても無毒化することはありません。 スベスベマンジュウガニは食用にしてはいけないカニです。
食・利用
漁業対象ではなく、市場に出回ることもありません。 干物や加工食品として販売されることも一切ありません。
毒・危険性
体内にテトロドトキシン(ふぐ毒)やパリトキシンといった強力な毒素を持っており、食べると命に関わることもあります。 毒は内臓だけでなく筋肉にも含まれているため、どんな調理をしても無毒化できません。