シビレエイ

古代ローマの電気治療魚

Narke japonica

Blogger 撮影コラム:「幸運の電気ショック・シビレエイ」
🔬 専門資料・出典引用(15件)

概要

コーデック:H264-MPEG4AVC

解像度:1920x1080

フレームレート:59.94

長さ:PT6M46S

サイズ:1.89GB

分類・分布

脊椎動物亜門 > 軟骨魚綱 > シビレエイ目 > シビレエイ科 > シビレエイ属 > シビレエイ

南日本、南シナ海

特徴・雑学

シビレエイは、浅い海の砂泥底に生息するエイの一種です。 普段は体に砂をかぶるように身を潜め、外からは噴水孔だけが見える状態となるため、非常に気づきにくい存在です。
卵胎生で、5月頃に仔魚を出産します。 産仔数は数尾から十数尾ほどとされ、産まれてくる仔魚はすでに小さなエイの姿をしており、体長はおよそ8~10cmです(1)。

【粘膜に覆われた体】
体表は糖タンパク質のムチンを主成分とする粘液に覆われており、砂から出てもなお、うっすらと砂が付着した状態が保たれます。 これにより周囲の環境と一体化し、カモフラージュとして機能します。 この粘液には、外部からの刺激をやわらげる緩衝的な役割や、細菌の侵入を防ぐ抗菌作用があると考えられています(2)。

【瞬間的な発電】
シビレエイは電気を発生させることができる魚です。
体内には電気を生み出すための特別な細胞(電気細胞/Electrocyte)と、それが集まった電気器官が備わっています。 電池のように蓄えたものを放出するのではなく、神経の指令によって瞬間的に発生する強い電気(パルス)です(3.4)。

発生する電圧は種や個体の状態、測定条件によって異なり、一般に20〜50ボルト程度とされますが、100ボルトを超える場合もあると報告されています。 人が受ける感覚は、静電気のように瞬間的な「バチッ」とした刺激で、瞬間的なのはパルスであるためです。
この発電はシビレエイ自身によって厳密に制御されており、砂中の甲殻類などの獲物を捕らえる際や、外敵から身を守るために意識して用いられます。 そのため、人が触れたからといって必ずしも放電するとは限りません。
シビレエイは生まれた直後から電気を発することができますが、発電細胞が少ないためその出力は成体に比べて弱く、成長とともに強くなっていきます(5)。

【古代ローマの電気治療】
電気という概念がまだ存在しなかった古代において、シビレエイが生み出す発電現象はきわめて奇異なものと捉えられていました。 病気が悪魔や神の仕業と考えられていた時代にあってなお、その不思議な力に可能性を見いだし、「医療」として活用しようと試みていた記録があります。

紀元1世紀、ローマ皇帝クラウディウスの侍医であったスクリボニウス・ラルグス(Scribonius Largus)は、 著書『Compositiones medicamentorum(薬剤調合法/処方集)』の中で、シビレエイが痛風の治療に効果があることを記述しています。

「Compositiones medicamentorum(CLXII)」

[ラテン語原文]
Ad utramlibet podagram torpedinem nigram vivam, cum accesserit dolor, subicere pedibus oportet stantibus in litore non sicco, sed quod alluit mare, donec sentiat torpere pedem totum et tibiam usque ad genua. Hoc et in praesenti tollit dolorem et in futurum remediat. Hoc Anteros Tiberii Caesaris libertus supra hereditates remediatus est.

[訳]
「いかなる痛風に対しても、痛みが生じたときには、生きた黒いシビレエイを患者の足の下に置くべきである。 場所は乾いた地面ではなく、海水に洗われる海岸に立たせ、その足全体と、すねが膝に至るまでしびれるのを感じるまで続ける。 この方法は、その場の痛みを取り除くだけでなく、将来的にも治療効果をもたらす。 ティベリウス帝の解放奴隷アントロスも、この方法によって治癒したとされている。」参考(8)

【発電システムの利用】
シビレエイの電気器官は、神経による制御を受けなくても、神経伝達物質によって人工的に刺激することで発電させることができます。 この性質を利用し、シビレエイの発電原理を応用したり(9)、生体の電気器官をそのまま発電装置として利用する研究も行われています(10)。

食・利用

見た目からも柔らかそうですが、水っぽい肉質の為に食用にすることは無いようです。

毒・危険性

シビレエイの電気刺激は、人が死に至るような直接的危険性はありません。
毒の棘はありません。

電気で獲物を察知する「サカタザメ」 サカタザメ水中映像

サメと名が付くがエイの仲間

お腹の子供が動いている「卵胎生」のヒラタエイ♀ ヒラタエイ水中映像

腹部が動いているのが見える

参考資料

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