サビカラマツ

錆びた唐松

Myriopathes lata

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概要

和名:サビカラマツ

英名:Black coral

学名:Myriopathes lata(Siberfeld, 1909)

海の中に盆栽があるかのような光景ですが、サビカラマツは植物ではなく動物です。 陸の樹木に昆虫や鳥が集まるように、魚やエビが集まっています。 映像は、沖合に面した急斜面の上部、水深20mほどで撮影したものですが、現在このサビカラマツはありません。

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】刺胞動物門 > 花虫綱 > ツノサンゴ目 > ミリオパテス科 > ミリオパテス属 > サビカラマツ

【分布】本州中部以南、台湾

特徴・雑学

陸上の樹木のように見えますが、サビカラマツは「黒サンゴ」と呼ばれる刺胞動物の仲間です。 多数の小さなポリプが集まって一つの群体をつくり、枝を広げるように成長します。

ダイバーの観察ポイント
この仲間は褐虫藻を共生せず、海中を漂う微細な粒子やプランクトンを捕らえることで栄養を得ています。 そのため、より多くの餌を得るために体を上へと伸ばし、樹木のような立体的な形になります。 枝の間には魚が集まり、小さな甲殻類が隠れ棲むことから、ダイバーには絶好の観察ポイントになります。

貴重なブラックコーラル・マヨケサンゴ
黒サンゴ類は、その黒く硬質な骨軸を持つ特異な性質から、古くより特別な力を宿す素材として扱われてきました。 紀元1世紀の古代ローマの博物学者、プリニウスがまとめた『博物誌』では、 古代ギリシャでは「アンティパテス(ἀντιπαθές)」と呼ばれ、毒や災いに対抗するものとされ、サソリの毒への解毒や呪術から身を守る護符として用いられていたと紹介されています(1)。

このような観念は一地域にとどまらず、スエズから太平洋に至る広い範囲で、黒サンゴに魔術的な効力があるとする信仰として共有されていました。 実際に腕輪などに加工され、病を防ぎ、邪を遠ざけるものとして身につけられていた例も知られています(2)。
黒く、しなやかでありながら強靭な骨軸は、石でも植物でもない異質な存在として人々の目に映り、その不可思議な質感が、見えない力を宿すものとしてのイメージを強めたのでしょう。

日本でも、ウミカラマツ、サビカラマツは装飾品の原料として扱われてきました。 帯留めや数珠として利用されている例がありますが、現在ではワシントン条約で厳しく規制されており、貴重品となっています(3)。

食・利用

食用の利用はありません。

海から生まれる骨インプラント
海洋生物の体をつくる構造の中には、人の骨と似た性質を持つものもあり、医療での活用研究が行われています。
海洋生物由来の材料を用いたインプラントの中には、時間とともに分解されて自分の骨に置き換わるものと、分解されず骨と一体化するものの2種類が研究されています。 ゴルゴニンを含む黒サンゴの骨格は後者に近く、ヒトの骨芽細胞および破骨細胞の双方が付着・増殖しやすい性質を持つことから、骨を形成する細胞が入り込む足場として機能する可能性が注目されています(4)。
さらに、その高い生体適合性と構造特性から、「生きた骨インプラント」としての応用も将来的に期待されています。

毒・危険性

ポリプには刺胞がありますが、人には影響は無いとされます。

真っ直ぐに伸びるタイプの黒サンゴ「ムチカラマツ」 ムチカラマツ水中映像

1mを超える長さになる

美しい螺旋になる黒サンゴ「ネジレカラマツ」 ネジレカラマツ水中映像

ムチカラマツほど群生しない

参考資料

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