メアジ

名もなきアジが日常をささえる

Selar crumenophthalmus

🔬 専門資料・出典引用(14件)

概要

和名:メアジ

英名:Bigeye scad

学名:Selar crumenophthalmus(Bloch, 1793)

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > アジ科 > メアジ属 > メアジ

南日本、全世界の温帯、熱帯域。

特徴・雑学

大きな目が特徴で、漢字では「目鯵」と表記します。 英名でも "Bigeye scad" と呼ばれます。

【よく似た"アジ"の仲間たち】
マアジによく似ていますが、やや細長い体形をしており、側線のカーブは緩く、尾の付け根のゼイゴもやや小さめです。
また、すべての個体に必ず見られるわけではありませんが、体側には黄色味を帯びた縦帯が見られ、尾びれの縁や先端部が黒っぽくなる個体も多く見られます。 マアジやマルアジでは、このような特徴はほとんど見られません。
体側の黄色縦帯は常に明瞭に現れるものではなく、個体の興奮状態や群れの環境などにより鮮やかに見えたり、全く見えなかったりします。

側線のカーブの緩さはマルアジに似ていますが、マルアジの尾ヒレの付け根には「小離鰭」という小さな鰭がることで区別になります。 ただし、海中で泳いでいる魚の小離鰭の確認をするのは非常に困難です。
体格はマアジやマルアジよりもスリムですが、体に対する頭部の比率はこれら2種よりも大きく、メアジは「顔が大きい」と言えるでしょう(1.2.3)。

種名 頭長の割合(HL / FL) 体高の割合(BD / FL) 体型の印象
メアジ 約22〜28% 約25〜35% 細長くシャープ
マアジ 約20〜25% 約30〜38% バランス型
マルアジ 約18〜24% 約30〜40% やや厚みがある
HL(Head Length):頭長(口先から鰓蓋後端までの長さ)
BD(Body Depth):体高(体の最も高い部分の高さ)
FL(Fork Length):尾叉長(口先から尾びれの中央のくぼみまでの長さ)

【暖海のアジ】
メアジは暖かい海を好む南方系の魚で、主に黒潮の影響を受ける海域に分布します。 日本では本州中部以南の、特に外洋寄りや沖合の海域で多く見られます。 一方、マアジは北海道から九州まで日本全土に広く分布しています。 外洋だけでなく内湾や沿岸部にも深く入り込むため、港や堤防など我々にとって身近な場所でも観察されるのが特徴です。

【アジのスピードスター】
メアジは、マアジよりも格段に撮影しにくい魚です。 非常に速い遊泳速度と、シンクロするような小刻みなクイックターンは、メアジの特徴だと感じます。
群れの速度や向きの揃い、さらに群れの大きさと密度(個体間の距離)についての研究は行われており、メアジは他種と比べてこれらの能力が高いことが報告されています(4)。

食・利用

日本ではメアジは「アジ」として一括して扱われることが多く、種として意識されることはあまりありません。 一方で、マアジは「真あじ」として区別され、地域ブランドとして高付加価値化される例が多く見られます。 メアジとマアジは、同じアジ類でありながら、市場における価値には大きな差が生じていると言えるでしょう。

【いつもの味はメアジかもしれない】
一般的に、マアジは「刺身向きで上質」、メアジは「安価で加工向き」といったイメージで捉えられることが多く、価格と用途の違いがそのまま評価として認識されている傾向があります。
メアジは脂分が少ないため、「脂の乗り」が重視される生食用途よりも、脂が多すぎない方が適している干物やフライといった加熱調理に向いているという実情があります。 実際に、業務用の加熱用アジ製品では「メアジ」と表示されているものも多く見られます(5.6)。
ブランド化されたアジが注目される一方で、メアジは日常的な食材として広く流通し、身近な食を支えている存在と言えます。

【暖海のローカルフード】
マアジがほとんど漁獲されないフィリピンなどの南方海域では、メアジはごく一般的な食材として利用されています(7)。 現地でも単価が低い魚とされることが多いようで、付加価値を高めるための加工品の開発が試みられています(8)。 こうした動きは、日本における「未利用魚」の活用や「付加価値化」とも通じるものがあります。

毒・危険性

毒性はありませんが、鮮度が落ちると、ヒスタミンによるアレルギー様食中毒を引き起こす恐れがあります(9)。

くさやの王様「クサヤモロ」 クサヤモロ水中映像

浅瀬でも稀に出会うことがある

ヒラマサの泳ぐ様子 ヒラマサ水中映像

ゆっくり泳ぐ様子を見ることは少ない

参考資料

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