ヒラマサ|暖海を好むブリの親戚

Seriola lalandi

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概要

撮影地: 静岡県伊東市 水深10メートル

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > アジ科 > ブリ属 > ヒラマサ

東北以南、黄海、カリフォルニア、オーストラリア。温暖な海域を好む。

特徴・雑学

ブリと非常によく似ますが生息域は異なり、冷たい海でも生息するブリと違い、ヒラマサは暖かい海を好みます。
ヒラマサとブリは識別できないほどそっくりですが、体側の黄色い縦帯が鮮明で胸鰭が接している(ブリは接しない)、上顎後端の角が丸い(ブリは尖る)ことで識別できます。 また、ブリは大きな群れで回遊する傾向が強い魚ですが、ヒラマサは単独~小群で回遊する傾向があります。
性転換はしない「雌雄異体」の魚で、生後半年~1年(20センチ~25センチ)で性腺が分化し始め、雄は生後2年(全長80センチ)メスは3年(全長90センチ)で成熟すると考えられています。*1*2

旬は春〜初夏(4〜7月)とされ、産卵前に脂がのり身が締まります。 暖かい地域の魚のため、保冷・輸送が未発達だった時代には遠隔地へ広まりにくく、ブリの様に全国的に広がる魚とはなりませんでした。 そのため、ブリと似ていながら「出世魚」としての段階名は定着しませんでした。

【養殖と種苗】
日本では1970年代より、天然のヒラマサ稚魚(モジャコ)を採捕して育てる方式が主流です。*5 長崎・大分・鹿児島・高知など黒潮域が主要産地です。 人工ふ化からの養殖も行われていますが、仔魚期の生残や親魚の成熟制御など課題があり、商業的には研究段階と言えます。*3*4*6

【地方名】
ヒラス(九州・高知)、ヒラソ(島根)、ヒラゴ(九州の若魚)、コヒラ(山口の若魚)、マサ(関東)、シラマサ(東北南部)

【ヒラマサのブリとの違い】

ヒラマサの特徴

ブリの特徴1
ブリの特徴2

【参考動画:若いブリ】

食・利用

産卵期は4月~8月で、産卵前の春から初夏が旬であるとされています。*8 脂はブリより控えめで、筋肉質のしっかりした食感。刺身・握り・カルパッチョの評価が高く、春〜初夏は特に上質とされます。 その他、焼き物・照り焼き・しゃぶしゃぶ・みそ煮・酒蒸しなど和食の他、ポワレやオイル焼などの洋風料理にも幅広く合います。*9
市場では高級魚扱いで、条件によってはブリの2倍以上の相場になる例があります。

毒・危険性

有毒棘や毒腺はありません。
ブリ筋肉線虫(Philometroides seriolae)が寄生している場合がありますが、食べても健康被害はありません。 また、養殖のヒラマサにはブリ筋肉線虫は寄生することが無いので、天然物の証であるとも言われています。*7

参考資料

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