イットウダイ

鰓蓋の棘で一刀両断?

Sargocentron spinosissimum

夜行性のイットウダイは、昼間は岩陰で過ごします。 紅白の体は目立つためではなく「分断色」という輪郭をごまかす色彩だと考えられています。

本ページは随時更新されます

概要

和名:イットウダイ

英名:North Pacific squirrelfish

学名:Sargocentron spinosissimum (Temminck and Schlegel, 1844)

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

【分類】脊索動物門 > 条鰭綱 > キンメダイ目 > イットウダイ科 > イットウダイ属 > イットウダイ

【分布】本州中部以南、台湾

特徴・雑学

イットウダイは、赤い体に細い白色の縦縞が並ぶイットウダイ科の魚で、大きな眼と硬い鱗を持ちます。 テリエビスと酷似していますが、テリエビスの背ビレに見られる黒い斑紋と白色のラインが、イットウダイにはありません。 また、テリエビスの胸ビレの付け根の内側にある黒い斑点も、イットウダイには見られません。

イットウダイに似るテリエビス イットウダイとそっくりなテリエビス

やはり鰓蓋の棘には毒がある

硬い鎧と毒の槍

イットウダイの体は、大きく硬い鱗によって鎧のように覆われています。 鰓蓋付近には、左右それぞれの主鰓蓋骨の後方に2本、前鰓蓋骨の下縁に1本の鋭い棘があります。 このうち、イットウダイ亜科の特徴である前鰓蓋の棘には毒腺があり、刺すことで毒を注入し、捕食者から身を守るための構造と考えられています(1)。
毒性はそれほど強くないとされますが、刺されると痛みが長く続くことがあります。釣り上げた際や調理する際には、硬い鱗だけでなく、鰓蓋付近の棘にも注意が必要です(2)。

海中では目立たない「赤」

イットウダイは夜行性の魚です。 昼間は大きな岩の下や隙間の奥に隠れており、出てくることはありません。 海中では水深が増すにつれて赤い光が吸収されるため、赤色は本来の鮮やかさを失い、暗い色に見えるようになります(3)。 岩の下などの暗がりで見ると、輝くような赤い色には見えません。

縞模様による防御

赤と白などの、明暗差のある縞模様は「分断色(Disruptive Coloration)」と呼ばれ、体の輪郭を分かりにくくする効果があるとされます(4)(5)(6)(7)。 イットウダイの縞模様も、光と影が複雑に重なる岩礁域では、体の形をひとつながりの魚として認識しにくくする可能性があります。 捕食者が獲物の位置や輪郭を見極めるまでの時間を少しでも遅らせることができれば、その間に岩の隙間へ逃げ込む機会を得られます。

食・利用

イットウダイは食用になる魚で、釣りのほか、定置網や刺し網などで漁獲されます。 しかし、体が小さく漁獲量も安定しないため、一般の鮮魚店にまとまって並ぶことはほとんどありません。

身は白身で、汁物や煮付け、揚げ物などに利用できますが、硬い鱗に覆われ、鰓蓋付近には鋭い棘があるため、下処理には手間がかかります。 市場価値の高い魚ではありませんが、漁獲された地域で食べられることのある、小型の食用魚です。

毒・危険性

イットウダイ亜科の特徴である前鰓蓋の下縁にある大きな棘は、刺すことで毒を注入する棘です(8)。 カサゴ類よりも弱い毒であろうとされますが、釣り上げた際や調理の際に刺されないよう注意が必要です。
食用による毒性はありません。

同じイットウダイ科のアヤメエビス イットウダイ科のアヤメエビスの水中映像

前鰓蓋の下にある大きな棘には毒があるので注意

参考資料

他の水中映像をチェックする
お問い合わせフォーム