ヒラスズキ

荒磯の王者は慎重派

Lateolabrax latus

堤防の波消しブロックに棲みつく全長70cmほどのヒラスズキの水中映像です。 荒波の打ち付ける浅瀬に生息し、警戒心が強いため、ダイバーが海中で出会う機会は多くありません。 一般的に知られる「スズキ」とば別の種類で、評価も価値も格上です。

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概要

和名:ヒラスズキ

英名:Blackfin seabass

学名:Lateolabrax latusKatayama, 1957

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ科 > スズキ属 > ヒラスズキ

【分布】能登半島以南・茨木県以南から鹿児島(1)

特徴・雑学

ヒラスズキは、荒磯に打ち寄せる白波の中で生きる、沿岸性のスズキの仲間です。 一般的なスズキよりも体高があり、尾が太く、やや銀白色の体は、砕ける波の中で光を反射し、周囲に溶け込むように見えます。
主に岩礁帯や外洋に面した海岸に生息し、強い波や潮流をものともせず、砕けた波の裏側に身を潜めながら、小魚や甲殻類を狙います。 その動きは俊敏で、波と同調するかのように現れては消え、まさに“磯の王者”と呼ぶにふさわしい存在です。

荒波を好むヒラスズキ


スズキは内湾、汽水域、河口域など、塩分濃度の低い海域に生息することで知られますが、仔稚魚も同様の環境で過ごします。 対照的にヒラスズキの仔稚魚は内湾や沿岸の砕波帯など、極めて浅い海域で生息することが確認されており、塩分濃度の低い河口域は主生育場ではないと考えられています(2)。

ヒラスズキの食性


食性は肉食性で、小魚や甲殻類を主に捕食します。仔稚魚の頃は周囲の他種仔魚や橈脚類などの動物性プランクトンを捕食します(3)。 捕食行動は、水温や潮の干満による影響を受けるので一概には言えないと考えられていますが、夏の高水温時には昼間よりも夜間に行う可能性が高いという報告もあります(4)。

意外と長寿 ヒラスズキの繁殖と成長


西九州沿岸で冬〜早春(概ね1〜3月)に産卵がピークとされています。 性成熟は2歳から始まり、体長は雌で約38センチ、雄で36センチ、3歳で概ね性成熟し、メスの方がやや成長が早いと考えられています。 ヒラスズキは雌雄異体で、性転換魚であるという証拠は示されていません。
最大の年齢は雌雄とも11歳(5)。

幻の魚を完全養殖 ヒラスズキ養殖化の試み


ヒラスズキの養殖は、現時点ではまだ実用化された産業とは言えず、研究・実験段階にある魚種です。
近年、大学や研究機関によって人工授精や稚魚の育成といった初期段階の技術は確立されつつありますが、卵から成魚までを安定して育て、さらに次世代へとつなぐ「完全養殖」には至っていません。 特に、産卵行動や成長環境の再現が難しく、人工環境ではストレスの影響も大きいため、安定した飼育が大きな課題とされています(6.7)。

荒磯の王者は磯釣りの王者


ヒラスズキは、磯釣りにおける憧れのターゲットとして知られています。 外洋の荒磯の波の中で狙うスタイルは危険と隣り合わせですが、その迫力と達成感から「磯の王者」と呼ばれ、多くのアングラーにとって特別な存在です。
力強い"引き味"を持つうえ、流通量が少なく食味にも優れることから、「釣って良し・食べて良し」の魚としてゲームフィッシングの世界で一目置かれています(8)。

食・利用

ヒラスズキは、沿岸の荒磯に生きる魚でありながら、食材としても非常に評価の高い存在です。 一般的なスズキに比べて身質がしっかりしており、水っぽさが少なく、旨味が濃いとされます。
特に寒い時期には脂がのり、淡白さの中にコクが加わり、刺身では上品でありながら深みのある味わいを楽しむことができます。

スズキよりも洗練されている? 食べてみたくなるヒラスズキ


刺身以外にも、皮霜造り・炙り・昆布締め・塩焼き・ポワレ・フライなど多用途で、「フグにも負けない」と評価されることもあります(9)
関東より関西での需要が多く、ヒラスズキを「滅多に入らない特別な魚」としている料亭やレストランが多くあります(10)
流通量は少なく一般への流通は希少です。汽水域に棲息しないため臭みが少ないと評価され、同サイズのマルスズキより高値となる傾向があります。 安定した供給が無いことも「特別な魚」である要因とも言えます。

毒・危険性

人に対する毒性はありません。

岸から5mほどの浅瀬に現れたヒラスズキの若魚 岸から5mほどの浅瀬に現れたヒラスズキ若魚の水中映像。この時は水面の海藻や流木に沢山の幼魚がいたので、捕食しにやってきたのかもしれない。

水面に漂う幼魚たちを狙って来たのかもしれない

堂々と泳ぐヒラマサ ヒラマサの水中映像。水中でブリと見分けるのは難しいが、ヒラマサは単独、または数尾の群れで、獲物を探すように泳ぐ傾向がある。ブリの場合は大群で統率の取れた行動が多い。

群れずに単独行動であった

砂地で摂餌行動するシマアジの群れ シマアジが砂地に顔を突っ込んで餌を探す様子の水中映像。シマアジには歯が無いため、泳いでいる魚に喰いつくことは不得意らしく、摂餌は海底の動物であるようだ。

繰り返し砂地を探る様子が見られる

参考資料

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