ボウズニラ

釣りをするクラゲ

Rhizophysa eysenhardtii

ボウズニラは植物のニラではなく、クダクラゲの仲間です。 一般的なクラゲのように拍動する傘はなく、ガスの入った気泡体によって海中を浮遊しながら漂います。

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概要

和名:ボウズニラ

英名:(Siphonophore:通称)

学名:Rhizophysa eysenhardtii Gegenbaur, 1859

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】刺胞動物門 > ヒドロ虫綱 > クダクラゲ目 > ボウズニラ科 > ボウズニラ属 > ボウズニラ

【分布】熱帯、亜熱帯の外洋を中心とする表層

特徴・雑学

「ボウズニラ」という名前ですが、植物のニラではありません。 糸くずのように見えますが、刺胞動物であるクダクラゲの仲間です。 刺胞があり、刺されると非常に痛みがあります(1)。

浮力を調節して漂う

ボウズニラの先端には小さな袋状の気泡体があり、内部の気体量によって浮き沈みをコントロールしています。 ボウズニラが属するクダクラゲの仲間には、毒クラゲとして有名なカツオノエボシがいます。 カツオノエボシも先端には、大きな袋状の浮力体があり、完全に水面に浮いた状態で、長い触手が海中へ垂れ下がる構造をしています。
ボウズニラの構造もカツオノエボシと同様ですが、完全に水面に浮くことはなく、海中を漂います。

「群体」という、ひとつの生物

ボウズニラを含むクダクラゲは、単独の個体ではなく群体生物です。 先端部にある出芽帯(buddingzone)から発生した個虫には、それぞれ役割があり、浮力を調整する気泡体(pneumatophore)、推進力を生み出す泳鐘(えいしょう/nectophore)、摂餌や消化を担当する栄養体(gastrozooid)、 触手や感覚機能に関わる感触体(tentacular palpon)、生殖を担当する生殖体(gonophore)などに分化しています。
これらの個虫は全て、中心を通る「幹(stem)」と呼ばれる軸に連結し、ひとつのクダクラゲとして機能します。
ただし、すべてのクダクラゲで、これらの役割の個虫が揃っているわけではなく、気泡体を持たない種類や、泳鐘を欠く種類なども存在します。 ボウズニラには、推進力を発生する泳鐘は無く、海中を漂うのみです。

もしかして釣りしてる?ボウズニラの伸縮行動

ボウズニラの幹が伸びると、糸状の触手枝も網のように海中へ広がります。 本種は稚仔魚を多く捕食しているという調査結果もあり(2)、広げた触手で獲物を捕らえているものと思われます。
ところが、海中で見たボウズニラは頻繁に収縮を繰り返していました。 研究報告によると、伸縮を繰り返す理由については、沈降速度の調整や水中姿勢の維持など、様々な可能性が考察されています。
一方で、この細く小さな生物を見つけることができたのは、それがわずかに伸縮し「動く」物体だったからでした。 釣竿を小さく動かして仕掛けをアピールするように、この伸縮運動もまた、小さな魚の興味を引き寄せるための“釣り”のような行動なのかもしれません。
実際に、クダクラゲの仲間にはプランクトンであるカイアシ類に似せた刺胞を持ち、ルアーのようにして魚をおびき寄せる種類もいます(3)。

食・利用

食用として一般に利用される対象ではありません。

毒・危険性

ボウズニラは刺胞を持ち、刺されると非常に強い痛みを伴います。 見た目が“ゴミ”や“糸くず”のようで気づきにくく、避けるのは困難ですが、周囲に他のクラゲなどが多く漂っている状況では、その中に含まれている場合があります。 素肌を露出せず、全身を覆うウエットスーツやラッシュガードなどを着用するのが望ましいでしょう。

クラゲに刺されたときの対処方法

必ず海から上がり、患部に砂などが付着している場合は、擦らずに海水で洗い流します。
真水や尿は浸透圧の違いにより、残っている刺胞が発射する引き金になる場合があります。 また、酢は特定の種類に効果があるとされており、クラゲの種類がわからない場合には推奨されません。
よく目視し、患部にまとわりついている触手や刺胞があれば、ピンセットや箸などでそっと剥がすように取り除きます。

痛みや腫れのある患部には、保冷剤や冷たいペットボトルを当てて血管を収縮させ、タンパク質毒を不活性化することで痛みを和らげます。 または、熱めのお湯(40〜45℃)に患部を浸すことで、タンパク質毒を熱変性させ、症状が和らぐ場合があります。
痛みが弱まっても安心せず、アナフィラキシーショック(呼吸困難や意識障害など)が起こる場合があるため観察を続け、必要に応じて医療機関を受診してください。

群体生物のクダクラゲ(ダイジェスト) クダクラゲのダイジェスト版水中映像。実に多様な形が存在する

さまざまな形のクダクラゲがいる

千切れやすい繊細な幹群を伸ばすアイオイクラゲ アイオイクラゲの水中映像。泳鐘は脱落しやすく、長い幹群だけで漂う個体を見かける

泳鐘は脱落しやすい

参考資料

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