アイゴ

魚の防御と自己治癒

Siganus fuscescens (Houttuyn, 1782)

腹にウツボの歯型のような咬み跡のあるアイゴは、尻ビレの毒により、ギリギリで捕食を回避できたのかもしれません。 腹を喰いちぎられたアイゴは泳ぎづらそうにしていますが、一命をとりとめて自己治癒し、傷口は塞がっています。

🔬 専門資料・出典引用(9件)

概要

和名:アイゴ

英名:Mottled spinefoot

学名:Siganus fuscescens (Houttuyn, 1782)

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > アイゴ科 > アイゴ属 > アイゴ

【分布】岩手県以南、西太平洋、インド洋

特徴・雑学

腹部にウツボに咬まれたような歯型のあるアイゴと、腹部をちぎられたようなアイゴです。 ウツボの歯型のような跡は、左右共にあります。 ウツボに咬みちぎられるギリギリのところで回避したのでしょうか。 歯型のみで大きな傷は無く、元気に泳いでいます。
噛み跡の下部、ちょうど捕食者の喉元になる箇所には尻ビレがあります(1)。 アイゴのヒレの棘条には強い痛みを伴う毒がありますので、噛みついた捕食者は、アイゴの毒棘に喉を刺され、激痛で退散したのかもしれません。

一方、お腹を何者かに咬みちぎられたようなアイゴは、とても泳ぎにくそうにしています。 魚の皮膚は人間の50倍の回復能力があるとされ、少々であれば欠損部分を再生することもできます(2)。 泳ぎづらそうなアイゴには、生々しい傷跡は見られませんでしたので、致命傷を免れて、なんとか回復したのだと思われます。

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食・利用

アイゴは臭い魚として敬遠される地域がある一方で、好んで食べられている地域もあります(3)。 アイゴは海藻を主に食べますが、プランクトンなどの動物も食べる雑食魚で、地域や季節による食性の違いが風味に影響すると考えられています。 また、魚の好みは地域によって異なるため、食文化や風土も評価を左右しているのでしょう。

徳島県沿岸には「アイゴの皿ねぶり」という言葉があり、皿まで舐めたくなるほど美味しい魚とされています。 三重・和歌山・奈良・徳島などでは、刺身や一夜干し、干物として親しまれています。
沖縄では初夏に現れるスク(アイゴ属の稚魚)を漁獲する風習があり、塩辛の「スクガラス」は酒の肴として人気です(4)。 また、エーグヮー(アイゴ)のマース煮も広く親しまれています。

毒・危険性

近年の研究では、アイゴの棘の毒は強い痛みや腫れを引き起こすだけでなく、その毒素の構造がオニダルマオコゼ類の毒とよく似ていることが明らかになりました(1)。 アイゴの毒は致命的なものではありませんが、刺されると激しい痛みが長時間続くことがあります。
刺された場合は、まず傷口をよく洗い、やけどをしない程度の温かい湯に患部を浸すことで痛みが和らぐことがあります。 症状が強い場合や腫れが広がる場合、体調に異変を感じた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

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参考資料

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