ヤリイカ

冬を告げる海の槍

Heterololigo bleekeri

🔬 専門資料・出典引用(7件)

概要

和名:ヤリイカ

英名:Spear squid

学名:Heterololigo bleekeri (Keferstein, 1866)

撮影地:静岡県伊東市 定置網内

提供映像(サンプル映像は1280x720 30pです)

分類・分布

軟体動物門 > 頭足綱 > ツツイカ目 > ヤリイカ科 > ヤリイカ属 > ヤリイカ

北海道以南、黄海、渤海、東シナ海北部。沖合の水深100m前後に生息し、冬の産卵時には沿岸に近寄る。

特徴・雑学

ヤリイカは、細長く先の尖った外形が「槍」を思わせることから名付けられたとされるイカです。
海の中でヤリイカに出会う機会は少なく、本映像は定置網内で撮影された映像です。

ふだんは水深100m前後の沖合に生息しますが、冬から春には産卵のため沿岸へ近づきます。 産卵は水深60mほどから行われると考えられていますが、水温などの条件によっては、水深5mほどのごく浅い場所でも確認されています。(1) ヤリイカは一年で世代交代する寿命の短い種類で、繁殖を終えるとその一生を終えます。

【雌雄の違いと近縁種】
成長すると雌雄で体つきに差が見られます。 オスは外套長が30センチ前後まで達するものの非常に細く、まさに槍のような体形をしています。 メスは20センチ前後とやや小ぶりで、ふくらみのある体形になります。

ケンサキイカと混同されることもありますが、外套膜後端の尖りがより強いことと、頭部から腕にかけての長さが短いことが特徴です。 またオスでは、外套の腹側中央に沿ってわずかな隆起が見られ、そこに黒い線状の模様が現れることがあります。
メスにはこのような明瞭な線は見られず、体形もふくらみがあるため区別の手がかりにはなりますが、海中での見極めは容易ではありません。
ただし、ケンサキイカは、初夏から夏にかけて産卵のため沿岸に現れ、ヤリイカと入れ替わるように見られるイカです。 そのため、季節が見分けの手がかりとなります。

【垂直移動するイカ】
ヤリイカは、スルメイカのように広範囲な回遊をすることはなく、沖合のやや深い水域と沿岸の浅い水域のあいだを、季節に応じて移動すると考えられています。 とくに冬から春は、生息している沖の水深帯から産卵場となる沿岸へ寄ることで、人の目にも触れやすく、漁獲も上がります。 水温にも好みがあり、低すぎても高すぎても産卵や分布に影響するとされ、年によって接岸の様子が変わることがあります。(2)(3)

【漁獲量の変動】
近年のヤリイカの漁獲量は、全国的にはおおむね横ばいとされていますが、地域や年によって増減が見られます。 これは、水温や海流といった海洋環境の影響を受けやすい生物であるためと考えられています。(4)

食・利用

冬が旬とされる代表的なイカのひとつで、透明感のある身と歯ごたえ、噛むほどに広がる甘みが魅力です。 オスは大型で身が厚いため、刺身で食感を楽しみやすく、メスは卵を抱えた「子持ちヤリイカ」として珍重されます。 煮付け、焼き物、寿司だねなど利用範囲も広く、冬の味覚として親しまれています。(5)

ただし、一般的な鮮魚店に並ぶヤリイカはオスであることがほとんどで、メスの子持ちヤリイカが店頭に並ぶことは稀です。

毒・危険性

毒はありません。 アニサキスは、スルメイカやサバに比べて少ないとされますが、確実に少ないとは言い切れません。 主に内臓に寄生するため、生食する場合は鮮度の良いうちに内臓を取り除くことが重要です。 死後は筋肉へ移動することもあるため、できるだけ早い処理が望まれます。(6)
さらに、アニサキスは-20℃で24時間以上の冷凍、または十分な加熱により死滅するとされます。(7)

オスが持つ精子のカプセル(精莢)は非常に硬く鋭く、口腔内に刺さることがあります。 見た目では分かりにくい場合もあるため、調理の際には注意して取り除く必要があります。

【アオリイカ:交接の瞬間】 アオリイカの交接水中映像

アオリイカが精子のカプセル(精莢)をメスに渡す交接

【粘るイカ墨:囮になるアオリイカのイカスミ】 イカスミの水中映像

水中で拡散せず、囮になるイカ墨(アオリイカ)

参考資料

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