ウバウオ

腹鰭は吸盤

Aspasma ubauo

ウバウオは、ごく浅瀬の岩に棲む可愛らしい魚として、磯遊びやダイバーの間では親しまれている魚です。 ところが、2019年になり、「ウバウオはウバウオではなかった」という事実が判明し、新たに新種の「ウバウオ」となるという、変わった経緯があります。

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概要

和名:ウバウオ

英名:Clingfish

学名:Aspasma ubauo Fujiwara & Motomura, 2019

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

【分類】脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > ウバウオ目 > ウバウオ科 > ウバウオ属 > ウバウオ

【分布】千葉県・長崎県以南

特徴・雑学

ウバウオは最大でも5㎝ほどの非常に小さな魚です。 腹鰭が吸盤状に変化しており、海藻や岩などにぴたりと付くことができます。 普段はあまり泳がず、周囲に同化するようにじっとしていることが多い魚で、見つけるには目を凝らす必要がありますが、動きが少ないこともあり、撮影や観察には人気の高い魚です。

別人だったウバウオ

実は、ウバウオは古くから日本で知られている魚でありながら、近年になって学名が変わったという少し変わった経歴を持っています。 1887年、ドイツの動物学者デーデルラインによって、Lepadogaster minimus、後のAspasma minima という魚が新種記載され、長い間「ウバウオ」とされてきました。 ところが2019年になり、その学名の基準となるタイプ標本を改めて調べたところ、実はウバウオではなく、別種のヨザクラウバウオであることが判明しました。 130年もの間「Aspasma minima」と呼ばれてきたウバウオから、正式な学名が無くなりました。
そこで、藤原恭司氏と本村浩之氏によって、それまで日本でウバウオとして知られてきた魚を、新種 Aspasma ubauo として記載し、新たな学名が与えられました。

『Beiträge zur Kenntniss der Fische Japan's. (IV.)』(1887)
出典: Biodiversity Heritage Library(Harvard University, Museum of Comparative Zoology, Ernst Mayr Library所蔵)

一方、問題になるのが、ヨザクラウバウオの立場です。 ヨザクラウバウオは2012年に Kopua japonica という学名で新種として記載されたばかりの魚でした。 しかし、約130年前に記載された Aspasma minima の正体がヨザクラウバウオだったことで、事情が一変します。

学名は「早いもの順」

同じ種に複数の学名が付けられていた場合、原則として先に付けられた学名が優先されます。 そのため、ヨザクラウバウオには1887年に記載された minima の名が引き継がれ、Kopua minima となりました。 ヨザクラウバウオは、2012年に新種として与えられた Kopua japonica という学名を、わずか数年で失うという悲劇に見舞われたことになります。

昔から知られていたウバウオが新たに新種として記載され、一方で新種として記載されたばかりのヨザクラウバウオは、実は130年以上前にすでに記載されていた魚だった。 タイプ標本の再調査によって、2種の立場が大きく入れ替わることになった珍しい出来事です。

背中が吸盤になっているスジコバン 背中の吸盤で付くスジコバンの幼魚

逆さに張り付く

食・利用

食用の情報はありません。

毒・危険性

人に対する毒性や危険性の情報はありません。

参考資料

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