オニイソメ

待ち伏せる顎

Eunice aphroditois

オニイソメは、砂と岩が入り交ざる場所の岩の下に生息し、獲物となる動物が通りがかると、強力な顎で捕らえて食べます。 ごく浅瀬にも生息しており、素手で掴むと咬まれる場合があります。
映像に映る個体は、1mを超える長さがあるものと思われます。 頭部には小さな眼点が見え、体表は金属質に輝いている様子がうかがえます。

🔬 専門資料・出典引用(5件)

概要

和名:オニイソメ

英名:Bobbit worm

学名:Eunice aphroditois (Pallas, 1788)

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】環形動物門 > 多毛綱 > イソメ目 > イソメ科 > イソメ属 > オニイソメ

【分布】日本各地、世界の暖海。潮間帯から水深40mに生息

特徴・雑学

オニイソメは、温暖な海の潮間帯と呼ばれるごく浅瀬から、水深40mほどの海域に生息する、一般に「ゴカイ」や「多毛類」と呼ばれる生物の仲間です。 以前の分類では、多毛類とはゴカイやケヤリムシ、ウロコムシなど、実際に体表に多くの剛毛をもつ環形動物を指し、ミミズ類やヒル類は別のグループとして扱われていました。
しかし現在では分類体系の見直しが進み、分子系統解析などの結果から、かつて多毛類と呼ばれていた系統が、ミミズ類やヒル類の祖先にあたることが分かっています。 そのため、学術的な意味で「多毛類」と呼ぶと、ミミズやヒルも含まれることになりますが、従来の用法として「多毛類=ゴカイの仲間」という呼び方も依然として広く用いられています。
本ページでは、混乱を避けるため、旧来の意味での多毛類(いわゆるゴカイ類)を指して「多毛類」という名称を用いています。

カンブリア紀に誕生した多毛類

ゴカイと呼ばれる多毛類の仲間は、約5億年以上前のカンブリア紀には、すでに誕生していました。
カナダ・ロッキー山脈に位置するバージェス山周辺では、約5億1000万年前の地層(バージェス頁岩)から、多毛類の一種 Canadia spinosa の化石が発見されています(1)。 この化石は、体節や側足、剛毛といった多毛類に特徴的な構造を備えており、多毛類がカンブリア紀の海ですでに成立した体の基本設計を持っていたことを示す重要な証拠とされています。

最長3メートル!隠れた顎で獲物に食らいつく巨大ゴカイ

オニイソメは、多毛類の中でも最大級になる種で、長さが1mに達するものもいます。
2009年には、13年間使用された養殖いかだの内部から、 全長299cm、体重433gに及ぶオニイソメが採取された記録があります(2)。
体の前方には鋭い顎を備えますが、これは普段は体内に収納されています。 岩の下や穴の奥で待ち伏せし、近づいた小魚や甲殻類に反応すると、 咽頭を反転させるように顎を外へ突き出し、瞬時に噛みついて捕食します。

DVDの輝きと同じ? キモ美しいゴカイのからだ

オニイソメの体表は、青や紫、金属光沢を帯びて見えますが、これは色素による色ではありません。
体表に並ぶ微細な構造が光を干渉させることで生じる「構造色」によるもので、見る角度や光の当たり方によって色合いが変化します。
同じような仕組みは、草原が風で波打つことで色味が移ろって見える現象や、CD・DVDの表面が虹色に輝く様子にも見られます。 オニイソメの輝きは、色素そのものではなく、光の反射のしかたが変化することで生み出される現象です。

食・利用

一般に「ゴカイ」と呼ばれる多毛類は釣り餌として広く利用されますが、オニイソメのような大型種は取り扱いが難しく、商用利用されることは多くありません。

毒・危険性

強い顎で噛みつく力があり、素手で触れると咬傷の危険があります。

海底に罠を仕掛けて獲物を捕らえるニッポンフサゴカイ 蜘蛛の巣のように海底に張られた白い糸はニッポンフサゴカイの触手です。粘着性のある触手に獲物がくっつくと、触手を縮めて回収する。本体は出てこない。

触手に獲物が触れると引きずり込んで捕らえる

海底から突如現れるスゴカイイソメ 弱った魚を撮影していると、海底に付いた瞬間に小さなゴカイが現れました。ゴカイたちは、ひたすら獲物が来るのを待っているようです。

大きな獲物は逃してしまった

全身が毛で覆われた、その名も「ウミケムシ」 日中は砂の中で隠れているウミケムシ。夜なると泳ぎ回り、釣りの餌に喰いつくこともあるという、実は行動派のゴカイの仲間。普通は触れることは無いが、釣ってしまった時には触らないように気を付けないといけない。

毛には毒がある

参考資料

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