ニセクロナマコ

食べてはいけない黒いナマコ

Holothuria leucospilota

ニセクロナマコは浅瀬に多く見られる黒いナマコで、体表に砂が付かないことが特徴です。 体内に毒素のホロツリンを持ち、食用には適しません。

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概要

和名:ニセクロナマコ

英名:Black sea cucumber

学名:Holothuria leucospilota (Brandt, 1835)

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

【分類】棘皮動物門 > ナマコ綱 > 楯手目 > クロナマコ科 > クロナマコ属 > ニセクロナマコ

【分布】伊豆半島以南、中国、台湾、フィリピン、オーストラリア、タヒチ、グアム、ハワイ

特徴・雑学

ニセクロナマコは、浅い岩場や砂礫の海底などでよく見られる黒いナマコです。 クロナマコとよく似ていますが、クロナマコの体表には砂が多く付着しますが、ニセクロナマコにはほとんど付着しません。

ナマコは地球を浄化する

普段はゆっくりと海底を這うように移動しており、一見すると特別な役割を持つ動物には見えません。
しかし、ナマコは海底の砂とともに有機物を取り込み、その有機物だけを消化して、比較的きれいになった砂を糞として排出しています。 いわば海底を耕し、海をきれいに保つ“掃除屋”のような役割を担っているのです。
地味な存在に見えるナマコですが、海の環境を支える重要な生物のひとつといえます。

「海底を集める」ナマコの触手 ナマコの触手が海底の砂を集める様子をとらえた水中映像

ナマコは海底を浄化している

ナマコには毒がある?ある研究者の執念

ナマコには、体内にホロツリンという毒素を含む種類がいます。
ホロツリン(Holothurin)は、ナマコ類の体内に含まれるサポニン系毒成分として知られています。 この名称を与えた人物として知られるのが、京都大学理学部動物学教室の講師であった、山内年彦(T. Yamanouchi)です。
山内氏は、ナマコ (Holothuria vagabunda/ニセクロナマコの旧学名) の体壁から結晶性のサポニンを単離し、その化学的性質や魚類・温血動物に対する毒性について研究を行いました。 そして、この未知の物質を新しいサポニンとして「ホロツリン(holothurin)」と命名しています。

しかし、この研究は、現代のように分析機器が整った時代のものではありませんでした。
発端は1929年の夏。山内氏はナマコ表皮細胞の実験中、水槽に加えた抽出液によって魚が次々と死ぬ異変を目撃します。
「ナマコに毒があるのではないか」――。
この偶然の発見が、後のホロツリン研究の始まりとなりました。

戦争と研究

その後、研究は戦時色が強まる1940年代へ入っていきます。 十分な設備も分析機器もない時代、山内氏は和歌山沿岸で大量のナマコを採集し、煮沸、濾過、アルコール分画、再結晶を何度も繰り返しました。 現在なら分析装置が数分で示す結果を、当時は魚、カエル、ウサギ、マウスなどを用いた膨大な生物実験によって、一つずつ確かめていったのです。

1941年から1945年にかけては、140kgものニセクロナマコを用いて研究を継続。 戦争の時代に、海辺でナマコを集め、乳鉢ですり潰し、毒を抽出し続け、1955年にホロツリンの性質を体系的にまとめた論文「On the Poisonous Substance Contained in Holothurians」を発表しました(1)。

食・利用

ニセクロナマコは、毒成分のホロツリンが多く含まれており、食用にはできません(2)。

毒・危険性

ニセクロナマコは、毒成分のホロツリンが多く含まれており、食用にはできません。 また、皮膚が敏感な方は触れない方がよいとされます。

キュビエ器官にはサポニン様の毒成分が含まれる トラフナマコから射出されるキュビエ器官は、強力な粘着力があるばかりか、サポニン様の毒成分が含まれる。

粘着の上に毒もある…

猛烈な勢いで肛門から噴出するトラフナマコ 通常はゆっくりと糞をしながら歩くナマコだが、ものすごい勢いで砂と海水を出すトラフナマコがいた。観察はこの一度だけで、どういう現象なのかはわからない。

糞であるのかどうかは不明な現象

参考資料

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