ミズヒキガニ

小さなウエイトリフター

Eplumula phalangium

ミズヒキガニは、水深20m程から見られる細長い脚を持つ小型のカニです。 特殊化した第4歩脚で海藻やヒドロ虫などを持ち上げ、カモフラージュなどに利用します。

🔬 専門資料・出典引用(6件)

概要

和名:ミズヒキガニ

英名:Arrow crab

学名:Eplumula phalangium (De Haan, 1839)

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】節足動物門 > 軟甲綱 > 十脚目 > ミズヒキガニ科 > ミズヒキガニ属 > ミズヒキガニ

【分布】青森~九州

特徴・雑学

ミズヒキガニは、小さな体に対して非常に長い脚を持つ、細身のカニです。 甲は縦長の洋ナシ形から三角形に近い形で、甲長は1.5cmほどですが、第1~第3歩脚は細い管状で著しく長く、左右に広げると10cmを超えることもあります。 赤みを帯びた細長い脚が贈答品用の飾り紐である「水引」を思わせることが、和名の由来とされています(1)

小さなウエイトリフター

ミズヒキガニは、沿岸のやや深い海に生息する底生性のカニで、水深30~300mほどから記録されています(2)。 海藻やヒドロ虫、ヤギ類などの付着生物が見られる環境に生息し、特殊化した第4歩脚でこれらを持ち上げ、カモフラージュに利用することが知られています。

一方で、食性について詳しく調べた研究は少なく、何を主な餌としているのかはよく分かっていません。 天敵についても特定の生物との関係を詳しく調べた報告はほとんどありませんが、第4歩脚で周囲のものを持ち上げて身を隠す行動は、捕食者から発見されにくくするための防御手段のひとつと考えられています。

防御の盾か、紛れる擬態か

ミズヒキガニの第4歩脚(一番後ろの脚)は、ほかの歩脚より短く、先端が物をつかめる形になっています。 この脚を背中側へ持ち上げ、海藻やヒドロ虫類などをつかんだまま行動します。 刺胞動物を持つときは、危険を感じると高く振り上げるような防御行動をするように見られます。 一方、映像のミズヒキガニが持っているのは刺胞の無い海藻ですが、高く振り上げることは無く、まるで海藻の揺れを真似てカムフラージュしているようにも見えます。

このように後ろ脚を「持つための脚」として使うカニはほかにもおり、カイカムリの仲間は海綿やホヤ、トサカ類などを背負い、キメンガニの仲間も海綿を体の上にかぶせます。 また、背負うという行動ではソメンヤドカリのようにイソギンチャクを宿である貝殻に付け、その刺胞を防御に利用するものがいます。 こうした行動には、周囲に紛れたり、捕食者が嫌がる生物を持つことで身を守る効果があると考えられています。

ミズヒキガニでは、ヒドロ虫など刺胞を持つ生物を振り掲げることで、積極的な防御手段として役立っている可能性(3)がある一方、ごく普通の海藻で揺れるだけのこともあります。 実際にどのような効果を期待しているのか、脚で持つ物によって対応を変化させているのかは検証されていません。

海綿を被るカイカムリ 帽子のように海綿を被るカイカムリの水中映像

第4歩脚で海綿を持つ

食・利用

食用に関する情報は確認できません。

毒・危険性

人に対する毒性や危険性は確認できません。

海綿でカムフラージュするカイメンガニ 全身に海綿をつけてカムフラージュするカイメンガニの水中映像

体に付けた海綿は生きている状態

参考資料

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