キツネアマダイ幼魚

幼魚の戦略

Malacanthus latovittatus

概要

和名:キツネアマダイ(幼魚)

英名:Blue blanquillo(juvenile fish)

学名:Malacanthus latovittatus (Lacepède, 1801)

撮影地:静岡県伊東市

提供映像(サンプル映像は1280x720.30pです)

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > キツネアマダイ科 > キツネアマダイ属 > キツネアマダイ

相模湾以南、琉球列島、西太平洋

特徴・雑学

キツネアマダイは、西太平洋を中心とする暖かい海に広く分布する魚で、岩礁域に近い砂地で岩の下に巣穴を掘って暮らします(*1)。 成魚は青白く光るような体と体側の黒い帯模様が特徴で、沖縄など南方域では比較的知られているものの、伊豆半島周辺ではそう頻繁に見られる魚ではありません。

 

【襲われない擬態】
幼魚は、クリーニングフィッシュとして知られるホンソメワケベラの幼魚によく似た体色をしています。 ホンソメワケベラは、さまざまな魚の体に付いた寄生虫を食べて取り除くことから、魚たちにとって「益魚」として知られています。 益魚を襲って捕食する大型魚はほとんどいないため、キツネアマダイの幼魚は体色を似せることで、捕食を回避していると考えられています。

 

【襲われない泳ぎ】
泳ぎ方はホンソメワケベラとは異なり、体を横方向に波打たせるようにして泳ぎます。 また、ダイバーが近づくと、進んでは止まり、進んでは止まり、向きを変えたかと思うと進んでは止まり、といった断続的で細かい動きを繰り返す様子が観察されます。
このような動きは、「バースト・アンド・コースト遊泳(burst-and-coast swimming)」(*2)と呼ばれる、捕食者に狙いを定めにくくするための遊泳様式にも似ていますが、 キツネアマダイ幼魚の泳ぎ方についての詳細な行動研究は確認されていません。

 

参考動画:トリッキーな泳ぎをするタキゲンロクダイ

▶ タキゲンロクダイの詳細ページを見る

映像のキツネアマダイ幼魚は、砂地の巣穴周辺を忙しなく泳ぎ回りながらも、一定の範囲からは大きく離れないことがよく分かります。
巣穴を離れたくないという本能と、捕食者からの攻撃を避けたいという要求の折り合いとして、その場に留まりながらフェイントをかけるような動きで被食を回避しようとしているように見えます(*3)。

食・利用

キツネアマダイの成魚は、地域によっては釣りや刺網などで漁獲され、白身魚として食用にされることがあります。
身は少々やわらかいが味はよく、刺身や煮付け、塩焼き、唐揚げなど、一般的な白身魚と同様の料理に向くとされます。 ただし水揚げ量は多くなく、沖縄など南方の一部地域で地魚として扱われる程度で、全国的に広く流通する魚ではありません。

毒・危険性

キツネアマダイに毒の情報はありません。

参考資料

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