概要
アオタナゴ:Ditrema viride Oshima, 1940
撮影地:静岡県伊東市 水深5m
提供動画
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:1分41秒
- サイズ:474MB
- (SAMPLE動画は1280☓720です)
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > ウミタナゴ科 > ウミタナゴ属 > アオタナゴ
青森県以南の日本各地の沿岸(浅い海)で見られ、特にアマモ場などの藻場、転石帯・岩礁域などに多いとされます。
特徴・雑学
アオタナゴは、体色が美しい青銀色を呈しますが、原記載論文では黄緑色と表現されています。
色彩や体形は、ウミタナゴやその亜種であるマタナゴと非常によく似ており、水中での判別は困難です。
アオタナゴの背ビレ棘条部は縁が黒くなりますが、遊泳中に大きく全開することはあまりありません。
一方で、尻ビレ基底(付け根)には明瞭な黒色の線が見られます。この黒色線はウミタナゴやマタナゴには見られないため、泳いでいる状態で最も識別しやすい特徴といえます(*1)。
【ウミタナゴ1種から3種1亜種へ】
1990年代までの分類ではウミタナゴは1種であり、その他は体色変化やシノニムであるとされていました。
その後、2007年に、アカタナゴ、アオタナゴ、ウミタナゴ(基亜種・日本海側に分布)とその亜種のマタナゴ(太平洋側に分布)の3種と1亜種に分かれました(*1)。
参考動画:アカタナゴ
参考動画:マタナゴ
【仔を産む魚】
ウミタナゴ科は海産硬骨魚としては珍しい「胎生」で知られます。
交尾は夏から秋に行われますが、すぐには受精せず、精子は雌の輸卵管の中でしばらく待機します。
雌の卵が成熟すると待機していた精子と受精し、約ひと月ほどで卵は孵化します。
胎魚は引き続き雌の体内で卵黄を栄養として成長し、交尾から約半年の期間を経て、初夏に親魚と同じ形になった仔魚を10~30尾の仔魚を出産します(*2)。
稚魚を出産するオキタナゴ
【食の縁起の色々】
ウミタナゴ属の出生時は尾から出てくることが多く、島根県では「逆子になる」として妊婦は食べない方が良い。という風習があります(*2)。
一方、次々と子供が生まれてくる様子からか、寛文7年(1667年)に書かれた『食物和歌本草増補』には「たなごこそ懐妊の薬朝夕に食して其子難産もなし」
(タナゴこそ妊娠の薬である、朝夕に食べれば子供は難産にならない)とあります(*3)。
東北地方では「安産に良い」として妊婦に食べさせた方が良い魚として珍重されます。
こうした民俗的な言い伝えは、身近な沿岸魚が人々の暮らしと結びついてきたことを示す一例です。
食・利用
広く流通する魚ではありませんが、沿岸地域や釣りで漁獲されたものが食用とされます。 タナゴ属の中では淡泊で旨味が少ないといわれることが多く、塩焼きや煮物などで食べられます。
毒・危険性
アオタナゴに毒性はありません。
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)
鹿児島大学総合研究博物館
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - 原色魚類大図鑑 北隆館 阿部宗明監修
- 学研の図鑑LIVE魚 学研 本村浩之総監修
- *1)Revision of the East Asian genus Ditrema (Embiotocidae), with description of a new subspecies.
(東アジア産ウミタナゴ属魚類の分類学的再検討) 片渕弘志・中坊徹次
Ichthyological Research, Vol. 54, pp. 350-366 (2007)
▶ 見る
▶ 見る - *2)郷土の海産物No.8 55ウミタナゴ
伊藤十治
福井市立郷土自然科学博物館研究報告 第1号(1985)
▶ 見る - *3)食物和歌本草増補 種魚・タナゴ(寛文7年・1667)
山岡 元隣
東京大学駒場図書館 資源科学研究所 本草書コレクション
▶ 見る