アメフラシの交接

連鎖する雌雄同体の交接

Aplysia kurodai

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概要

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分類・分布

軟体動物門 > 腹足綱 > 真後鰓目 > アメフラシ科 > アメフラシ属 > アメフラシ

本州、四国かから中国、九州。

特徴・雑学

春になると一斉に現れるアメフラシは、もともとは殻を持つ巻貝の仲間です。 伊豆半島では3月~4月に一斉に現れ、初夏にはいなくなる季節の風物詩のような生物です。

【貝が貝殻を捨てる選択】
進化の過程でその殻は次第に小さくなり、現在では外からは見えません。 ただ、完全に消失したわけではなく、薄い殻が内部に名残として残っています。
大胆な進化の理由は、防御のあり方にあるとされています。 硬い殻によって身を守る巻貝の生き方から、より柔軟で環境に適応した防御へと進んだ結果、殻を持たない方が有利であると判断したと考えられています。
殻の為に大量の栄養を摂取する必要が無くなり、体は軽くなり、海藻の間や岩の隙間を自在に移動できるようになりました。 そして、防御力の代わりに獲得したのが、化学的な防御手段です。 アメフラシは外敵に襲われると、体内に蓄えた紫色の液体を放出します。 液体は海中に広がって煙幕のように働き、捕食者の視覚や嗅覚を撹乱することで逃走の時間を稼ぎます。

【雨降らし】
アメフラシの名前は、刺激を受けた際に放出する紫色の汁が水中で広がる様子を「雨雲(雨を降らせる雲)」に見立てたことに由来すると言われています。 また、古くから「この生き物をいじると雨が降る」という伝承があったり、雨の日に磯でよく見かけられたりすることから、雨を呼ぶ存在としてその名が定着したと考えられています。
梅雨の時期の生き物と思われがちですが、実施は4月頃になると一斉に現れます。
英語では"Sea hare"とウサギに例えられた名前が付いています。

【連鎖する交接】
アメフラシは雌雄同体で、1個体の中にオスとメスの両方の機能を備えており、繁殖の際には、複数の個体が連なって交接する「連鎖交接」と呼ばれる独特の行動が見られます。
頭側(前方)がオス、体側(後方)がメスとして機能するという特徴があり、前の個体に精子を送りながら、同時に後ろの個体から精子を受け取るという役割を担います。 こうして数珠つなぎのように連なることで、交接の機会を待つことなく、効率的に受精が行われていきます。
受精後、アメフラシは細長い糸状の卵塊を産み付けます。 その姿が白や黄色の細い麺のように見えることから、古くより「海素麺(うみそうめん)」と呼ばれてきました。
海中でゆらめくその卵塊は、一見すると生き物のものとは思えないほど繊細で、春の気配を感じさせる存在です。

食・利用

アメフラシは一般的には食用とされていませんが、長崎県壱岐や島根県隠岐諸島では、食材として利用されてきた記録があります。
内臓を取り除いた後に加熱し、酢味噌などで和える調理法が知られています。 このような利用は主要な水産資源としてではなく、沿岸で得られる生物を活用する地域の生活文化の中で伝えられてきたものです。

毒・危険性

アメフラシは基本的に強い毒を持つ生物ではなく、人が触れたり扱ったりしても危険性はありません。 ただし、海藻を主食としており、摂取する海藻の種類によっては、人に有害な成分を体内に蓄積することがあります。 そのため、地域によっては食用とされるものの、内臓を除去や十分な加熱などの適切な処理が前提とされています。
アメフラシは積極的に人へ危害を加える毒を持つわけではありませんが、防御物質や食性に由来する影響には注意が必要な生物といえます。

海藻をモリモリ食べるアメフラシ アメフラシ水中映像

小さな目が可愛らしい

薄い色合いの「アマクサアメフラシ」 アマクサアメフラシ水中映像

砂地をグングン進む様子とつぶらな瞳

参考資料

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