概要
アカエソ:Synodus ulae Schultz, 1953
撮影地:静岡県伊東市
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:3分9秒
- サイズ:895MB
- (SAMPLE動画は1280☓720です)
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > ヒメ目 > エソ科 > アカエソ属 > アカエソ
南日本、伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島
特徴・雑学
アカエソは細長い円筒形の体をもつエソ科の魚で、体色はやや薄い赤〜褐色。体側には赤褐色の横帯が8〜9本入り、和名どおり全体に赤みを帯びた印象の魚です。
体長は30〜35cmほどに成長し、頭部はやや縦に扁平で大きな口を持ち、鋭い歯がびっしりと並びます。
顎にある歯の他に、上顎(口蓋骨)や舌(基舌骨)にまで歯があり、一度咥えた獲物は絶対に逃がさない必殺の構造になっています(*1)。
生息場所は、浅い岩礁やサンゴ礁に隣接する砂地・砂礫底です。
海底にぺたりと伏せていたり、砂に半分ほど体を埋めて潜み、近くを通る小魚や甲殻類などの獲物を待ち伏せして、素早く飛びかかって捕らえます。
普段はほとんど動かないため、一見すると鈍そうに見えますが、獲物が射程に入った瞬間だけ驚くほど俊敏に突進します。
一方、目の前の魚が通りがかったときだけでなく、条件によっては水面近くまで浮上して激しい激戦を展開することもあります。
エソには、マエソ、オキエソ、トカゲエソなど、たくさんの種類がありますが、一般の釣り人やダイバーのあいだでは、まとめて「エソ」と呼ばれることも多く、 加工品となる際も分けられていない場合がほとんどです(*2)。
参考動画:水面まで獲物を追うアカエソ
参考動画:獲物を咥えたオキエソ
食・利用
エソの仲間は水っぽく淡泊な肉質で小骨が非常に多いために、家庭での食用には不向きとされ、未加工の状態で流通することはありません。
その一方、エソ類は日本各地で古くから食用とされ、特に「すり身魚」として重要な地位を占めてきました(*3)。
江戸時代の本草学書『大和本草』(貝原益軒, 1709)にも「生臭みがあり、上等な魚とはいえない。病人には食用をすすめられない。
しかし、その肉をすりつぶしてカマボコにすると美味である。」と記され、古くから加工して利用する上品な白身魚として認識されていたことがわかります。*4
細く柔らかい骨を多く含むため刺身などの生食にはあまり向かず、すり潰して加工することで真価を発揮する魚です。
日本各地の伝統的な練り物――例えば九州の「さつま揚げ」、山口の「蒲鉾(かまぼこ)」、愛媛や広島の「じゃこ天」などはいずれもエソ類を主原料の一つとしています(*5*6*7)。
現代でも漁獲地の周辺では、エソを「ネリミ」「ネリゴ」などと呼び、地場加工のすり身や魚肉団子、つみれ汁、揚げ天などに広く利用され、
「エソは蒲鉾の原料の中でも最高級」(*8*11) とされています。
【地方名(地域)】*アカエソ以外のエソ科を含む
ヨソべ・タイコノバイ・オトコボラ(石川)*9、セエソ・セヨソ・セギス・ドンコ・ヨソ・オンノチュンバソ・フリイユ・イスイ(鹿児島)*10、
バカエソ(富山)、イモエソ(大阪)、トゥイーブ(沖縄)*12
毒・危険性
有毒線や毒棘はありません。
- *1)鹿児島県から得られた日本初記録のエソ科魚類 Saurida undosquamis ツケアゲエソ(新称)
中村潤平 本村浩之(2020)
TAXA No.48 p41-48
▶ 読む - *2)舞鶴かまぼこの原料魚(その2)かまぼこ百科15
一般社団法人 舞鶴市水産協会
▶ 読む - *3)蒲鉾今昔
牧田知江子
日本調理科学会誌(J. Cookery Sci. Jpn.) Vol.53,No.6,427~430(2020)
▶ 見る - *4)大和本草諸品図(下巻 P21)
中村学園大学 貝原益軒アーカイブ
▶ 見る - *5)焼抜き蒲鉾
萩市観光協会公式サイト
▶ 見る - *6)うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味
つけあげ(鹿児島県)
農林水産省
▶ 見る - *7)うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味
じゃこ天(愛媛県)
農林水産省
▶ 見る - *8)高級の原料「えそ」
株式会社博水
▶ 見る - *9)石川県魚類方言集
石川県水産試験場(1985)
▶ 見る - *10)鹿児島県の地域別魚介藻類の方言集
鹿児島県水産技術開発センター(1988)
▶ 見る - *11)萩の焼き抜き蒲鉾
萩市観産業戦略部産業戦略室
▶ 見る - *12)アカエソの地方名
大阪市中央卸売市場本場WEB
▶ 見る