ヨメヒメジ

ヒゲで味わってから捕食

Upeneus tragula

ヨメヒメジはヒメジ科の魚で、口元のヒゲは味のわかる感覚器官になっています。 砂の中に髭を差し込み、美味しい獲物を探します。 餌を見つけた時は、顔を突っ込むように砂ごとパクっと捕食します。

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概要

和名:ヨメヒメジ

英名:Freckled goatfish

学名:Upeneus tragula Richardson, 1846

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

【分類】脊索動物門 > 条鰭綱 > スズキ目 > ヒメジ科 > ヒメジ属 > ヨメヒメジ

【分布】南日本、西部・中部太平洋、インド洋

特徴・雑学

ヨメヒメジは、やや細長い体と、下あごに伸びる2本のひげが特徴の魚です。 ひげは感覚器官で、海底の砂中にいる餌を探すのに使います。

体の側面には褐色の帯が走り、多数の黒褐色の小さな斑点が散在しています。 尾びれの上側と下側には暗色の縞模様がありますが、体色や模様の濃さは同じ個体でも状態によって大きく変化します。

インド洋東部から西太平洋に分布し、沿岸の浅い砂底・砂泥底や、サンゴ礁の周辺にある砂地などに生息します。 河川の下流域に入ることもあります。 単独で見られることが多い一方、複数の個体が集まって行動することもあります。

食性は動物食で、小型の甲殻類など、海底にすむ無脊椎動物を食べます。 海底では下あごの2本のひげを動かして砂の表面を探り、砂中にいる餌を見つけると、口を砂に突っ込むようにして捕食します。

味わってから食べる・味蕾のあるヒゲ

ヒメジ類の下あごにある2本のひげは「口ひげ(barbel)」と呼ばれ、海底の餌を探すための感覚器官です。 表面には味を感じる「味蕾(みらい)」が多数あり、餌を口に入れる前に、その化学的な情報を捉えることができます。 もし人に例えるなら、指先で味がわかるようなもので、触れただけで味がわかる仕組みです。
砂や泥を探る動作と味覚を組み合わせることで、海底に隠れた小さな動物を見つけます。 口ひげから届く情報は、脳内でも口ひげの各位置に対応して処理されるため、餌の存在だけでなく、口ひげのどの部分で反応したかを区別できる仕組みになっています(1)。

ヒメジ科の2種を調べた研究では、口ひげの先端に近づくほど味蕾の密度が高く、一方で個々の味蕾やその開口部は根元側で大きいことが確認されています。 また、味蕾の大きさは成長に伴って変化しており、口ひげの感覚器官としての構造は、部位や成長段階によって異なります(2)。 さらに、ヒメジ科14種を比較した研究では、口ひげの長さや味蕾の特徴が、生息環境と関連していることが示されました(3)。

食・利用

伊東市内ではスーパーの地魚コーナーに、ホウライヒメジやオキナヒメジを見かけることがあります。 名称は有名なヒメジ科の一種である「オジサン」として販売されています。
クセが無くふんわりとして適度に脂の乗った白身は、刺身でも火を通しても絶品です。 まとまって水揚げされないため、広く流通はしませんが、ヨメヒメジも十分に美味しい魚とされます(4)。

ヒメジは古代ローマの高級魚

ヒメジ科の魚は、欧州でも古くから食材として親しまれてきました。 古代ローマの文献には、身の味に加えて肝や頭のおいしさが評価され、大型個体が非常に高い値段で取引されたことが記されています(5)(6)。
味のよい魚として珍重される一方、大きなヒメジを食卓に出すことは、富やぜいたくを示す意味も持っていました。 フランスでは「ルジェ・バルベ(rouget-barbet)」と呼ばれ、主に地中海や大西洋に生息するヨーロッパヒメジ Mullus surmuletus や、同属の Mullus barbatus が利用されています。 ヨメヒメジとは別の種ですが、下あごに2本の口ひげを持つ同じヒメジ科の仲間です。

意外なほど美味しいホウライヒメジ ホウライヒメジの水中映像

「オジサン」という名前で売られている

毒・危険性

人に対する毒性や危険性はありません。

タカサゴヒメジのダイジェスト版映像 下あごに2本の長いひげを持つタカサゴヒメジの水中映像ダイジェスト版

下あごの2本の長いひげで、砂中の餌を探すヒメジの仲間

参考資料

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