トクサバイ|死骸を食べる巻貝

Phos senticosus

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概要

撮影地: 静岡県沼津市 水深12メートル

分類・分布

軟体動物門 > 腹足綱 > 吸腔目 > エゾバイ科 > Phos属 > トクサバイ

房総半島以南、インド洋・西太平洋

特徴・雑学

トクサバイは細長い殻に、発達した螺肋が重層的にめぐる巻貝です。象の鼻のように伸びる水管で周囲の水を取り込むとともに、匂い(化学情報)を感知して死骸を探し当てます。
死んだ魚などの有機物を食べるスカベンジャー(死肉食者)として働き、海底での有機物の分解と栄養の再循環に関与しています。
摂餌時には吻(proboscis)を伸ばし、軟組織を削るように摂食します。砂に半ば潜りつつ水管だけを出して探索する様子が観察されることがあります。
こうしたスカベンジングは、海底での有機物滞留を軽減し、栄養や炭素の流れ(炭素フラックス)を支える役割を果たすと考えられています。

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食・利用

一般的な市場流通は多くありませんが、エゾバイ科の巻貝は地域によっては伝統的に食用とされます。テトラミンなどの毒性を含む部位があり、利用は地域的かつ少量です。

毒・危険性

「ツブ貝」と呼ばれるエゾバイ科の巻貝には、唾液腺にテトラミンを含む例が知られています。テトラミンは加熱しても無毒化しません。
唾液腺を十分に除去することで食用は可能ですが、食べ過ぎには注意が必要です。
テトラミンの中毒症状は、物が二重に見えるなど視覚の異常、船酔いのような三半規管の異常、頭痛、嘔吐などがあります。死亡例は無く、通常は数時間で回復します。

参考資料

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