トビエイ

海の鳶

Myliobatis tobijei

トビエイは、波のようにヒレをうねらせて泳ぐエイと違い、まるで鳥のように羽ばたいて泳ぎます。 頭の先の吻は、左右のヒレが繋がったヒレで、上昇する際などにわずかに動く様子が見られます。

本ページは随時更新されます

概要

和名:トビエイ

英名:Eagle ray

学名:Myliobatis tobijei Bleeker, 1854

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

【分類】脊椎動物亜門 > 軟骨魚綱 > トビエイ目 > トビエイ科 > トビエイ属 > トビエイ

【分布】南日本、シナ海

特徴・雑学

トビエイは翼のように発達した大きな胸びれを羽ばたかせるように動かして泳ぐ、非常に優雅な姿が印象的なエイです。 和名は「鳶(トビ)エイ」、英語では「イーグルレイ(Eagle ray)」と呼ばれ、鳥が空を舞うような動きからその名がついています。

まるでレーダー・獲物の電気を察知するエイたち

トビエイは、主に貝類や甲殻類など海底にすむ底生動物を食べる肉食性のエイです。 海底すれすれを泳ぎながら餌を探し、獲物を見つけると下面の口へと吸いこむように捕食します(1)。

頭部にはロレンチーニ器官と呼ばれる電気受容器があり、生物が発するごく微弱な電気を感知できます(2)。 視界の利かない砂泥底や、砂の中に隠れた獲物を探す際には、嗅覚などとともにこうした感覚が役立つと考えられます。

ロレンチーニ器官で獲物を探すサカタザメ サメと名に付くがエイの仲間のサカタザメ。ロレンチーニ器官で獲物を探す。

名前にはサメと付くがエイの仲間である

「頭鰭」・頭の先の突起はヒレ!

トビエイの吻部は、左右の胸鰭の前方部分が頭部の前でつながって形成された、頭鰭(とうき・あたまびれ)と呼ばれる構造になっています(3)。 マンタやイトマキエイでは左右の頭鰭が独立して角のように突き出していますが、トビエイでは左右がつながり、丸みを帯びた突出した吻を形成しています。 この頭鰭は、海底で餌を探したり、餌を口へ導いたりする際にも利用されます。
映像では、上昇する際に方向を制御するようにわずかに動く様子を捉えています。

子供はミルクで育てて出産

トビエイは胎生(卵黄依存から子宮内での栄養供給へ移行するタイプ)で、交尾による体内受精を行います。 胚は母親の体内で成長し、初期には卵黄から栄養を得ますが、その後は子宮から分泌される「子宮ミルク(子宮乳)」からも栄養を受け取って成長します(4)。
この子宮ミルクによって胚に栄養を与える仕組みは、一般に「卵胎生」と呼ばれることも多いエイ類で広くみられ、母体と胎盤で直接つながらなくても、母親から栄養を受けながら成長できる仕組みです。

トビエイは、十分に成長した仔を1回に1~10尾ほど、平均約6尾出産するとされ、出生時にはすでに親とほぼ同じ姿をしており、すぐに自力で泳ぎ始めます。

子宮ミルクで子供を育てるヒラタエイの妊婦 子宮ミルクと呼ばれる栄養液体で胎児を育てるエイの仲間たち

大きくなった背中が動く様子が見える

食・利用

食用にされることもありますが、特に人気の高い魚ではありません。 地域によっては煮付けや干物として利用されることもあります。 一方で、水族館での展示や水中映像素材としての魅力は非常に高く、美しい泳ぎが観察される人気の被写体でもあります。

毒・危険性

トビエイの尾には鋭い毒棘があり、刺されると強い痛みや腫れを伴うほか、深い刺傷を負うことがあります。 特に大型の個体では棘も大きくなるため、刺される部位によっては重大な事故につながる恐れがあります。 通常は積極的に人を襲う魚ではありませんが、上から覆いかぶさるように接近したり、追い詰めたりすると、防御のために尾を振り上げる可能性があります。 また、毒棘は非常に鋭く、グローブなどの防具を着用していても貫通することがあるため、直接触れないことが重要です(5)。

アカエイの毒棘 砂に隠れるアカエイや、尾にある毒棘のアップ映像

砂の浅瀬で踏んでしまうことが多い

電気を発するシビレエイ 発電細胞を持ち、電気を発することのできるシビレエイ。大型のものほど電気は強い。

電気の無い時代から痺れることは知られていた

参考資料

他の水中映像をチェックする
お問い合わせフォーム