ラッパウニ

噛みつくラッパには毒がある

Toxopneustes pileolus

概要

和名:ラッパウニ

英名:Flower urchin

学名:Toxopneustes pileolus (Lamarck, 1816)

撮影地:静岡県伊東市

提供映像(サンプル映像は1920x1080・30pです)

分類・分布

棘皮動物門 > ウニ綱 > Camarodonta目 > ラッパウニ科 > ラッパウニ属 > ラッパウニ

房総半島・相模湾以南からインド-西太平洋にかけて分布し、潮間帯~浅い潮下帯の岩礁域やサンゴ礁に棲息します。

特徴・雑学

殻径10cm前後の中型のウニです。暖かい海を好むウニで、伊豆半島は西海岸の方が海水温が1度ほど高いと言われますが、西海岸に比べると東海岸は多くありません。 白っぽい姿は海中で目立ちますが、小石や海藻などを乗せていることが多く、意外と目立たない存在です。
触れても刺さらないほどに先が尖っていない棘は短く太く、ラッパ状に開く腺嚢叉棘(globiferous pedicellariae)が密生しているため、一見すると棘が無いように見えます。

【日傘を差すウニ】
管足を使って小石や貝殻、落ち葉、海藻など周囲のものを体に付けていることが多く、全身を覆いつくしてウニとは分からない個体も見られます。 こうした被覆行動はカムフラージュのほか、紫外線から身を守る傘のような役割を持つと考えられています(*1 *2)。

【噛みつくラッパ】 腺嚢叉棘の先端には3枚の「顎器官」があり、その先端には細かい歯が並びます。 開いているときは花やラッパのように見えますが、刺激を受けると傘のようにすばやく閉じ、触れた物体に噛みつくように張り付きます。
ダイバーがうっかり触れて手に付く丸い物体は、この腺嚢叉棘の顎器官です。腺嚢叉棘には毒腺があり、顎部の歯とつながっていて、噛みついた相手に毒を送り込むしくみを持つとされています(*3)。

本映像では、落ち葉や殻片を身にまとって擬装したラッパウニの姿と、腺嚢叉棘がラッパのように開閉する様子を観察できます。 いかにも無防備そうに見える短い棘の下に、強力な防御システムが隠れていることを意識しながら見ると、印象が変わってくるはずです。

食・利用

ラッパウニは強い毒を持つ可能性があるため、一般には食用とはされていません。 地域の図鑑や解説でも食用利用に関する記述はほとんどなく、観察対象・研究対象として扱われることが多いウニです。
ラッパウニにはゼブラガニが寄生することも知られており、ラッパ状の棘のあいだから顔をのぞかせる姿はダイバーに人気の被写体です。

参考動画:ラッパウニに寄生するゼブラガニ

毒・危険性

ラッパウニはペディトキシン(peditoxin)というタンパク質毒を持つことが知られています。動物実験では、ペディトキシン投与により基礎体温の著しい低下、鎮静・麻酔性昏睡、筋弛緩などが起こることが報告されています(*4)。
毒そのものは強力ですが、顎器官先端の歯は非常に小さく、手のひらなど皮膚の厚い部位では貫通しにくいと考えられています。また、毒の強さは個体差や季節による変化、腺嚢叉棘ごとの差があり、噛みついたからといって毎回毒が放出されるわけではないことも示唆されています(*6)。
毒成分を扱った資料では「発赤や腫れを生じる」とされ(*7)、沖縄県の調査でもラッパウニによる被害例は少数で、重症例は報告されていません(*8)。 とはいえ、触れた部位や個人差によって症状は変わるため、素手で触ったり、素肌を露出した状態で近づくのは避けた方が安全です(*5)。

参考動画:ラッパウニの放精

参考資料

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