概要
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分類・分布
【分類】節足動物門 > 軟甲綱 > 十脚目 > ワラエビ科 > ワラエビ属 > オルトマンワラエビ
【分布】*****
特徴・雑学
オルトマンワラエビは、かつて「ムギワラエビ」とされてきましたが、分類の見直しにより、ムギワラエビとオルトマンワラエビに種が分けられた経緯があります。
それまでダイバーが目にしていた“ムギワラエビ”の多くは本種オルトマンワラエビとなり、本来のムギワラエビはむしろ希少な存在となりました。
うちわ状に広がるソフトコーラル、いわゆる「トサカ」に棲みつき、その枝の上で主に生活しています。
【小さなタカアシガニのようなエビ?】
見た目は、世界最大のカニであるタカアシガニを思わせるような非常に長い脚を持ちますが、分類上はカニではなくエビの仲間です。
よく観察するとエビ特有の「尾」(腹部)にあたる腹部があり、一般的なエビと同様に後方へ跳ねるように泳ぐことができます。
さらに注意深く見ると、腹部に卵を抱えた個体が見られることもあり、繊細な生命の営みを感じ取ることができます。
その独特な体形と、カラフルなトサカに潜む存在感から、水中写真の被写体としても人気が高く、小さいながらも多くのダイバーを惹きつける生物です。
【新種か、個体差か】
オルトマンワラエビは、一度は新種として記載された種ですが、その後の研究により、形態的な差異は個体変異の範囲内であるとされ、従来のムギワラエビと同一種ではないかという議論が生じました(1)。
その後、ダイバーによる観察が進むと、見た目や生息水深の異なる、明確な二つのタイプの存在が指摘されるようになりました(2)。
DNA解析などによる再検証は、まだ十分に行われておらず、現時点では両者の関係は明確とはいえない状況です。
しかし、他の生物でも見た目がほとんど同じまま別種である「隠蔽種」の例が知られており、本種についても同様の可能性が考えられます。
今後の研究によって、その実態が明らかになることが期待されています。
食・利用
人の利用はありません。
毒・危険性
人に対する危険性はありません。
ダイバーが出会える水深を超える場所に棲む
居ると知らなければ気が付くことはない擬態
参考資料
- World Register of Marine Species(分類情報)
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - 海の甲殻類
峯水亮著
文一総合出版
- 1)Chirostylus ortmanni MIYAKE et BABA, 1968, a Synonym of C. dolichopus ORTMANN, 1892 (Crustacea, Anomura, Chirostylidae)
(オルトマンワラエビはムギワラエビのシノニムである)
Ogawa, K. & Matsuzaki, K.
Bull. Inst. Oceanic Res. & Develop., Tokai Univ.(1993)
▶ 見る - 2)Rediscovery of Chirostylus dolichopus Ortmann, 1892 (Crustacea: Decapoda: Anomura: Chirostylidae) from its type locality, Boso Peninsula, Japan, with description of the colouration in life
(模式産地・房総半島におけるムギワラエビの再発見と生時の体色の記載)
Osawa, M. & Okuno, J.
ZooKeys(2016)
DOI:10.3897/zookeys.599.8984
▶ 見る