カスザメ|隠れた鰓孔

Squatina japonica

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概要

撮影地: 静岡県伊東市 水深12m

分類・分布

脊椎動物亜門 > 軟骨魚綱 > カスザメ目 > カスザメ科 > カスザメ属 > カスザメ

北海道以南、シナ海

特徴・雑学

カスザメは平たい体を持ち砂地に伏せていることが多く、一見するとエイのようですが、鰓孔が体側に位置することからサメの仲間に分類されます。
背面は細かいヒョウ柄でザラザラした質感を持ち、口のには短いひげがあります。 眼は小さく、巧妙にカムフラージュされていて目立ちません。すぐ後ろには三日月形に開いた噴水孔がありますが、噴水孔の方が目立ちます。

コロザメとよく似ていますが、コロザメでは左右の眼の間隔よりも左右の噴水孔の間隔の方が短いという特徴があり、カスザメでは眼よりも噴水孔の間隔の方が長くなります。
また、胸鰭の外側の角度が90度から100度ならカスザメで、120度前後の鈍角ならコロザメです。カスザメには背中の中心線に棘がありますが、コロザメにはありません。

卵胎生で、12月から4月に胎仔を産みます。

英語では「エンジェルシャーク」と呼ばれ、独特の体形から人気があります。 砂に身を潜めて魚類や甲殻類を待ち伏せして捕食する習性があり、夜行性で昼間はほとんど動かずに砂底に伏せています。
本映像では、熟睡しているカスザメのしなやかで柔軟性のある胸鰭、さらにサメ類の特徴である体側に開いた鰓孔が観察できる貴重な映像です。

食・利用

サメの中では一番おいしいという情報が多くありますが、一般的な市場流通は少なく、珍味として扱われるようです。 煮付けや唐揚げなどで利用されますが、漁獲対象としての重要性は高くありません。
小田原の練り物加工業者による試験では、独特の匂いのあるシュモクザメやアオザメとは違って臭みは無く、そのまま加工が可能だったという記述があります。

毒・危険性

カスザメ自体に毒はありません。基本的には大人しいサメですが、万が一咬まれた場合は、意外と鋭い歯を持つため怪我をする可能性があります。 背中の中心の棘も小さいながら鋭く尖ります。
砂に潜んでいる状態から、俊敏に大きく反り返って獲物を飲み込む様子が観察された例があります。

参考資料

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