概要
和名:イズカサゴ
英名:Neglected scorpionfish / Izu scorpionfish
学名:Scorpaena neglecta Temminck & Schlegel, 1843
撮影地:静岡県伊東市 水深25m
提供映像(サンプル映像は1280x720.30pです)
- コーデック:H264-MPEG4AVC
- 解像度:1920x1080
- フレームレート:59.94
- 長さ:1分20秒
- サイズ:373MB
分類・分布
脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > カサゴ目 > フサカサゴ科 > フサカサゴ属 > イズカサゴ
北海道、琉球列島を除く日本各地。相模湾以南、シナ海。
特徴・雑学
生息水深は資料によって幅があり、100mから150m、40mから600mなどとありますが、いずれにしろ通常の潜水で観察できる魚ではありません(*1)。 イズカサゴは日本産のフサカサゴ科の中では大型になりやすい魚で、長寿の魚としても知られます。 最大で、全長50cm、重量2kg、年齢は42歳の記録が紹介されています(*1)。
【二つのオニカサゴ】
釣り人や流通市場、調理関係では「オニカサゴ」と呼ばれて流通することが多く、標準和名のイズカサゴであるということは知られずにオニカサゴだと思われています。
一方、同じフサカサゴ科の仲間で、オニカサゴ(Scorpaenopsis cirrosa)という種類は別に存在しますので、ダイバーと釣り人が「オニカサゴ」と言っても、それぞれに違う魚を指している場合もあります(*2)。
参考動画:標準和名オニカサゴはこちら
【動かないスコーピオン】
陸上では見事なほどに鮮やかな赤い体色をしていますが、海中では赤くは見えません。
これは、海中を通過する光のうち赤色の波長が吸収・消失してしまうためで、深くなるほど赤は黒ずんで見えるようになります。
そのため、海中でのイズカサゴは、まるで岩陰の一部のようにしか見えず、赤い体色は隠蔽色(cryptic coloration)として機能していると言えます。
また、まったく動きのない魚で、撮影・観察中は小さな移動はおろか、背鰭の棘条をわずかに動かす素振りさえ見られません。
待ち伏せ型捕食者であることを考慮しても、この動きの無さは際立っており、イズカサゴが定着性(sedentary)の非常に高い魚であることを示しています。
さらに、イズカサゴの背鰭や腹鰭、臀鰭には毒腺を備えた棘条があり、刺されると強い痛みを伴います(*3)。
これらは捕食者が喰いついた際の防御手段として機能し、泳いで逃げる必要がないという戦略を支えています。
深い環境ほど黒ずんで見える赤い体色、鰭に備えた毒、そしてほとんど動かないという行動は、いずれも身を守るために合理化された進化の結果だと言えるでしょう。
食・利用
イズカサゴは、上品な白身が美味しい魚として知られています。
一般に、泳ぎ続ける必要のない魚は持久的な遊泳に使われる赤筋が少なく、待ち伏せ型の魚では白身が多くなるとされています。
イズカサゴの上品な白身は、ほとんど動かない生態に由来するものかもしれません。
定置網などで大量に漁獲されることのない魚であるため、流通量は少なく、市場では高級魚として扱われています。
毒・危険性
イズカサゴを含むフサカサゴ科の多くは、背鰭・臀鰭・腹鰭などの棘に毒腺があり、刺されると強い痛みや腫れを起こすことがあります。毒は主にタンパク質性で熱に弱いとされるため、応急処置としては火傷にならない範囲の温水(目安として42〜45℃程度)に患部を浸して痛みを緩和する方法が一般的に紹介されています。棘が刺さった場合は無理にいじらず、状態が強いときや異常があるときは医療機関を受診してください。
参考資料
- 日本産魚類全種リスト(分類情報)/鹿児島大学総合研究博物館
▶ 見る - JAMSTEC BISMaL(分類情報)
▶ 見る - 原色魚類大図鑑・北隆館・阿部宗明監修
- *1)学研の図鑑LIVE 魚・学研・本村浩之 総監修
▶ 見る - *2)オニカサゴが実はイズカサゴだった。
TSURI HACK(2026)
▶ 見る - *3)Biology and Ecology of Venomous Marine Scorpionfishes (Family Scorpaenidae)
(毒を持つフサカサゴ科魚類の生物学と生態)
Ramasamy Santhanam
Academic Press / Elsevier(2019)
▶ 見る - *4)丹後の海の生き物(イズカサゴ)
京都府 農林水産部海洋センター(2011)
▶ 見る - イズカサゴ(食材情報)/FoodsLink
▶ 見る