イシガキフグ

Chilomycterus reticulatus

Blogger 撮影コラム:「イシガキフグ」

概要

和名:イシガキフグ

英名:Spotfin burrfish

学名:Chilomycterus reticulatus (Linnaeus, 1758)

撮影地:静岡県伊東市

提供映像(サンプル映像は1280x720/30pです)

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > フグ目 > ハリセンボン科 > イシガキフグ属 > イシガキフグ

本州中部以南。世界の温帯域、熱帯域。

特徴・雑学

イシガキフグは、ハリセンボン科の魚ですが、ハリセンボンやヒトヅラハリセンボン、ネズミフグのように体表の棘は長くありません。 外見は硬そうで、膨らむような柔軟性は無いように見えますが、危険を感じると膨らみます。 体表の棘は起き上がるものの、ハリセンボンのように防御能力重視ではなく、「自分を大きく見せる」「噛みつきづらくする」効果があるように見えます。

フグ類が体を大きく膨らませる行動は、捕食者に対する防御行動として利用されます。 膨張によって体を通常よりも大きく見せることで、捕食者に対して威嚇的な視覚的ディスプレイとなり、攻撃意欲を低下させる効果があると考えられています。 さらに、体積の増加によって体形が大きく丸く変化すると、捕食者は噛みついたり、飲み込んだりすることが物理的に難しくなります。 イシガキフグの場合は、長い棘での防御ではなく、大きく見せる「視覚的防御」と、噛みつかれづらくする「物理的防御」のフグと言えます(*1*2*3)。

食・利用

一般に食用として流通する機会は多くありません。沖縄ではハリセンボン同様に「アバサー」と呼ばれてアバサー汁に利用される他、伊豆諸島の八丈島では「フグ汁」として島の味です(*1)。

毒・危険性

1995年と1996年の沖縄県衛生環境研究所の調査報告では、イシガキフグ・ネズミフグ・ハリセンボン・ヒトヅラハリセンボンの肝臓と卵巣からはテトロドトキシンは全く検出されなかったことと、 長年食用とされてきたにもかかわらず、中毒事例が無いことから「ほぼ無毒であろう」としています(*4A*4B)。
また、肝臓組織を用いた実験では、フグ科ではテトロドトキシンが肝臓に取り込まれる一方、ハリセンボン科・ハコフグ科では取り込みが認められず、毒の蓄積に関わる仕組みに差があることが示されています。
ただし、「イシガキフグがなぜ無毒なのか」という生理学的・進化的な仕組みを直接解明したものではありません。

厚生労働省による通知「フグの衛生確保について」では、フグ中毒事故を防止する目的から、食用にできるフグの種類および部位が厳密に定められています(*6)。 この通知は、個々の魚種の毒性の有無ではなく、誤認や判断ミスによる中毒事故を防ぐための行政的リスク管理として運用されています。
そのためハリセンボンについてもフグ目魚類として一括して扱われ、筋肉・皮・精巣のみが可食部位とされ、肝臓および卵巣は、フグの種類にかかわらず一律に食用禁止とされています。 これらの部位を販売または「提供」した場合、食品衛生法により3年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は1億円以下)の罰金が科されます(*7)。
なお、個人が自己責任において肝臓や卵巣を含む料理を「自分で」食べること自体は法律で直接禁止されていませんが、無償であっても家族や友人に「提供」した場合は食品衛生法違反となります。

また、くちばし状の歯は物理的に危険であり、釣り上げて死亡した後でも反射で噛むことがあります。
口には指を入れて万が一咬まれた場合、指を欠損する可能性があります。

参考資料

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