ホソカマス

Yellow-striped barracuda

Sphyraena stellata

ホソカマスは暖かい海を好むカマスの仲間で、伊豆半島で出会うのは稀です。

🔬 専門資料・出典引用(7件)

見慣れないカマス?

短刀のように長く、銀色に光るカマス。 時折見かける見慣れないカマスです。 アカカマスでもヤマトカマスでもないだろうとは思っていましたが、水中では手に取ることもできず、種類を見分けるのは意外と大変です。 あらためて、カマスの種類の見分け方を整理してみました。

概要

和名:ホソカマス

英名:Yellow-striped barracuda

学名:Sphyraena stellata Morishita & Motomura, 2020

提供映像(サンプル映像は低画質版です)

分類・分布

【分類】脊索動物門 > 条鰭綱 > スズキ目 > カマス科 > カマス属 > ホソカマス

【分布】相模湾以南の太平洋沿岸、小笠原諸島、琉球列島

特徴・雑学

よく調べたら新種だったカマス

長いあいだ、ホソカマスはハワイで見つかったSphyraena helleri(ヘラーズ・バラクーダ)と同じ種だと考えられてきました。 しかし2020年、鹿児島大学総合研究博物館の森下悟至・本村浩之両氏が各地の標本を詳しく比べたところ、本物のS. helleriはハワイ周辺に限られることがわかりました。 インド・太平洋に広く分布するものは、それとは別の新種だったのです。

この新種にはSphyraena stellataという学名が付けられ(1)、日本のホソカマスもこちらに当たることになりました。 新種の基準となった標本は、鹿児島県奄美群島の沖永良部島沖で採集されたものです。 学名の「stellata」はラテン語で「星のような」という意味で、体の側面に走る2本の黄色い縦帯にちなんでいます。

模様は手掛かりに過ぎない…

日本の海には、アカカマスやヤマトカマス、タイワンカマスなど、何種類ものカマスがいます。 どれも細長い銀色の体をしていて、ぱっと見ただけでは区別がつかないほどよく似ています。

身近なアカカマスやヤマトカマスは、やや赤茶色を帯びた背中をしており、ヤマトカマスではサバのような迷路模様が浮かび上がります。 ホソカマスでは、背中が赤茶色を帯びることはなく、側面に走る2本の黄色い筋が目立ちます。 タイワンカマスも体に筋を持っていますが、タイワンカマスは尾びれが黄色みを帯びるのに対し、ホソカマスの尾びれは灰色であるとされます。

とはいえ、色合いや模様は見る角度や光の加減で印象が変わるうえに、警戒しているか、休んでいるかといった状態によっても変化しますので、絶対ではありません。

個体差や気分は関係ない、鰭の位置関係

色合いや模様は不確かですが、鰭の位置関係は変化することがありません。 特に、第一背びれと腹びれ、胸びれの位置関係は特徴があります。 ただし、背びれと腹びれは意外と閉じていることが多く、コマ送りで開いた瞬間があれば、判断材料になります。 手に取る事はできないため、それ以上の細かい特徴を見ることはできません。

アカカマス、タイワンカマス、オオメカマスは、胸びれの後端が腹びれの基部にかかります。 一方、ヤマトカマス、ホソカマス、オオヤマトカマスは、胸びれの後端が腹びれの基部にかかりません。 3種のうち、ホソカマスの背びれは腹びれよりわずかに後ろにあるという特徴があるのに対し、ヤマトカマスとオオヤマトカマスの背びれは、わずかに前に出るか、同じ位置です。

映像のカマスは、胸びれの後端は腹びれ基部にかからず、背びれが腹びれよりわずかに後ろにあります。 また、ヤマトカマスのように赤茶色で模様のある背中ではありません。 ホソカマスかオオヤマトカマスと考えられますが、2本の黄色い筋が目立つこと、観察地は伊豆半島であり、生息域からオオヤマトカマスの可能性は低いことから、ホソカマスとしています。

食・利用

ホソカマスは漁でとれないわけではありませんが、「ホソカマス」という名前で市場に出回ることはほとんどないと思われます。 姿がほかのカマスと非常によく似ているため、気づかれないまま、ほかのカマス類に混ざって流通している可能性があります。

毒・危険性

ホソカマスによる中毒の報告は知られていません。ただし、同じカマス属のオニカマスはシガテラ毒を持つおそれがあるため、販売等が禁止されています(2)。 また、カマス類の歯は非常に鋭く、釣り上げた魚や鮮魚を扱う際にも、口元に触れると出血するほどの切り傷を負うことがあります。 取り扱いには注意が必要です。

参考資料

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