ヘダイ|名前の多いマイナー魚

Sparus sarba

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概要

撮影地: 静岡県伊東市、沼津市

分類・分布

脊椎動物亜門 > 条鰭綱 > スズキ目 > タイ科 > ヘダイ属 > ヘダイ

南日本、琉球列島

特徴・雑学

丸みのある顔つきが愛嬌のあるタイ科の一種。伊東では「モダイ」と呼ばれるなど各地で呼名が非常に多い魚です。 同じタイ科で「チヌ」と呼ばれるクロダイよりも体色が白っぽいことから「シロチヌ」とも呼ばれます。
産卵期は春から夏。性転換する魚で、最初は雄として成熟し、全長20センチから30センチに成長すると雌になるとする研究もある一方*3 初期は未発達の両性を併せ持つが、成長とともにどちらかに分かれて性転換はしないという研究もあります。*4

「へだい」の名前の由来は、「平たい」の「へ」鯛。であるという説や、口が「へ」の字に曲がっているように見えるからという説*2 もあります。 漢字では「平鯛」と表記します。
ヘダイは日本各地で実に様々な呼び名がある魚です。味は美味しいのに全国的には知られていないマイナー魚であるのは、地方ごとに名前が違うため、 「〇〇はとても美味しい」と別に地域の人に言われても、それがどの魚を言っているのか通じない。というのが原因なのではないかと思わせるほど様々な名前で呼ばれます。 静岡県伊東市では「モダイ」と呼ばれることが多いのですが、「白鯛」と表記されることがあり、いったい何の魚のかと混乱します。 情報の豊富な現代でさえ混乱するので、昔は全く通用しなかったと想像します。

各地の呼び名
シラッタイ(茨城県大洗町、静岡県、和歌山県)、シロダイ(神奈川県、静岡県伊豆・沼津)、モダイ(静岡県伊東)、シラタイ(静岡県伊豆、紀州、長崎県対馬)、 シラデェ(静岡県伊豆)、、マナジ(浜名湖、三重県)、マナゼ(浜名湖)、ヘイズ(京都府)、キビレ(京都府丹後、兵庫県但馬)、ヘズ(京都府丹後、島根県益田)、 オキヅカイ/オコヅカイ(京都府丹後)、ハナマル/ヘヂヌ(和歌山県)、ギンダイ/キダイ(兵庫県但馬)、ヘイジダイ(島根県松江)、セダイ(山口県、熊本県)、 カイズ(徳島県阿南)、ヒョウダイ(高知県、長崎県)、ヒョウゴ(高知県)、ヒヂヌ/ヘマイ/ヘエマジル、(愛媛県)、ヒエダイ/ヘェ(福岡県)、 メジロ(長崎県壱岐)、カモヂン(大分県)、セタイ/ウンゲ(宮崎県日向)、ヘイマダイ(宮崎県宮崎)、ヒラダイ(宮崎県日南)、シロチヌ/ヘッ(鹿児島県串木野)、 へー(鹿児島県垂水)、テーノユ(鹿児島県奄美大島)、チバー(沖縄県)、カンガータイ/ティンムー(沖縄県糸満)、ガクガクー(沖縄県国頭)、チン(沖縄県久米島)、 タマン(沖縄県宮古・狩俣)、アカダイ(沖縄県宮古・久貝)、チンダイ(沖縄県八重山)

食・利用

秋には脂がのり、まとまって獲れるので旬だとする資料がありますが、春という資料もあります(三重県)。*1
刺身・塩焼き・煮付け・ムニエル、カルパッチョなど幅広く美味。身がやや柔らかく水分が多い個体もあるため、昆布締めで水気を抜くと風味が際立つと言われています。 クロダイよりは少ないものの、若干の磯の香りを感じることがあり好みが分かれるところですが、クロダイより上品と評されることも多い魚です。

ヘダイの特徴1
ヘダイの特徴2

毒・危険性

毒性の報告は確認できません。

参考資料

  • JAMSTEC BISMaL(分類参照) ▶ 見る
  • 魚類写真資料データベース(FishPix) ▶ 見る
  • 三重県おさかな図鑑*1
    三重県水産研究所 ▶ 見る
  • 生き物図鑑 ヘダイ*2
    鳥羽水族館 ▶ 見る
  • 三重県のお魚図鑑
    三重県漁業協同組合連合会 ▶ 見る
  • みえ、地元一番ブランド
    三重県 農林水産部 フードイノベーション課 地産地消・ブランド推進班 ▶ 見る
  • ヒョウダイを捌いてムニエルの作り方】大月町ふるさと納税(youtube)
    高知県大月町channel ▶ 見る
  • A radioimmunoassay study of the plasma levels of sex steroids in the protandrous, sex-reversing fish Rhabdosargus sarba (Sparidae).*3
    W. S. B. Yeung, S. T. H. Chan.
    General and Comparative Endocrinology, 66(3): 353-363, 1987(June issue) ▶ 見る
  • Reproductive biology of Rhabdosargus sarba (Sparidae) in Western Australian waters, in which it is a rudimentary hermaphrodite. *4
    S. Alex Hesp, Ian C. Potter.
    Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 83(6), 1333-1346, 2003(Online公開 2004-01-08) ▶ 見る