赤潮

海が赤く染まる

赤潮を水面下からとらえた水中映像です。 赤潮は、大量発生したプランクトンが原因で海が赤く変色する自然現象です。 初夏など、水温が上がる時期に多く発生します。

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概要

和名:赤潮

英名:Red tide

学名:harmful algal bloom

提供映像(サンプル映像はYouTube版です)

分類・分布

自然現象

特徴・雑学

赤潮とは、海中のプランクトンが大量に増殖することで、水の色が赤や茶色、時には緑色などに変化して見える現象です。 水面が一様に染まったように見えることもあれば、帯状やまだら状に広がることもあります。

「赤潮」は悪者ではない:陸と海がシンクロする現象

赤潮は、陸上から流れ込む雨水によって窒素やリンなどの栄養塩が海へ供給されることや、気温の上昇によって表層の海水温が高くなること、さらに風や波が弱く海水が滞留するような環境が関係しています。 これらの条件が重なることで、特定の植物プランクトンが急激に増え、水中のバランスが一時的に偏った状態になるのが原因です。
赤潮の発生時、動物プランクトンは相対的に少ない状態となることが多いとされます。 これは、爆発的に増殖した植物プランクトンに対して捕食が追いつかないことや、特定の種だけに有利な環境条件が整っていることを示しています。

特に初夏から秋にかけて発生しやすく、閉鎖的な湾内や沿岸域でよく見られます。
プランクトンの種類や状況によっては、海中の溶存酸素量が低下したり、有害な種によって魚類や貝類などへ影響が及ぶこともあり、漁業や養殖業において見過ごせない現象として知られています。
水面の色の変化として捉えられることが多い赤潮ですが、水中では細かなプランクトンの粒子が高密度で漂っており、光の透過や透明度にも大きな影響を与えます。 赤潮は、海の環境バランスが急激に変化していることを示す、一つの指標ともいえる現象です。

人の文明は自然には抗えないのか?

赤潮は、不可避な自然現象である一方、人間が営む養殖業や沿岸漁業にとっては、時に甚大な脅威となります。
実際に近年でも、八代海や橘湾などで養殖魚の大量斃死(へいし)が発生し、各地で深刻な漁業被害が報告されています。 その被害額は数億円規模にとどまらず、条件によっては数十億円に達することもあり、地域経済や水産業にとって死活問題となっています。
こうした被害を軽減するため、赤潮の発生を早期に把握するモニタリング体制の強化や、発生メカニズムを解明する研究が急ピッチで進められています。 現場レベルでも、赤潮の襲来を察知していけすを水中深くへ沈下させる退避行動や、いけす構造自体の改良など、実効性の高い対策が導入され始めています。
赤潮という逆らうことのできない自然現象に対し、現在は「観測・予測・技術的対策」を組み合わせた、海と共生するためのアプローチが継続的に行われています。

食・利用

赤潮が未来のエネルギー?爆発的増殖力を利用する

赤潮の“爆発的に増殖する微細藻類”の性質に着目し、人工培養によって燃料資源や医薬品の生産に利用しようとする研究が進められています。
植物プランクトンの中には、光合成によって高速でCO2を吸収し、体内に油分を蓄える種類が存在します。 この仕組みを人工的にコントロールし、次世代の「バイオ燃料」やプラスチックの原料として活用する技術開発が進められています。
また、医薬品などの原料となる有用物質を、短期間で大量に産生する生産技術として、赤潮のメカニズムを利用しようとする研究も進められています。

ただし、実用化に向けては「コスト」という大きな壁が立ちはだかります。 広大な培養施設の維持や、微細なプランクトンを効率よく回収・精製するための技術にはまだ莫大な費用がかかるため、既存の石油燃料などに対抗できるだけの低コスト化が最大の課題となっています。

毒・危険性

赤潮の中には、有毒なプランクトンが原因となるものもあります。
こうした赤潮は海洋生物に影響を与えることがあり、魚類の斃死や貝類への毒の蓄積などが知られています。 一方で、人間に対しては、海水に触れるだけで大きな影響が生じることは一般的にはありません。 ただし、有毒なプランクトンを取り込んだ貝類などを間接的に摂取することで、健康被害が生じることがあります。

赤潮から食の安全を守る

実際に、貝毒が一定の基準を超えた場合には、その海域で採取された貝類の出荷が自主的に規制されることがあり、各地で出荷停止と解除が繰り返し行われています。
こうした対応は、消費者の安全を確保するための重要な仕組みとして運用されています。

海底から湧き上がる泡 海底から泡が出る水中映像

砂の海底から泡が出る様子

荒波を海中から見た様子 荒れた海中の水中映像

水面が白く泡立ち、海藻が激しく揺れる

参考資料

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